再就職手当はもらわない方がいい?受け取るべきか迷ったときの判断基準とケース別の考え方

「再就職手当って、もらわない方がいいの?」と悩んでいる方は少なくありません。

ネット上では「失業保険を満額もらった方が得」という意見もあれば、「早く就職して手当を受け取るべき」という意見もあり、正直どちらを信じればいいのか迷ってしまいますよね。

結論からお伝えすると、再就職手当を受け取るかどうかは「あなたの状況次第」で答えが変わります。

この記事では、再就職手当の基本的な仕組みから、もらわない方がいいと言われる理由、逆にもらった方がいいケース、そして2025年4月の制度改正まで、初心者にもわかりやすくまとめました。

最後まで読めば、自分にとってどちらの選択が有利なのか判断できるようになるはずです。

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再就職手当はもらわない方がいいのか?結論は「あなたの状況次第」

再就職手当をもらうべきか、それとも見送るべきかは、万人に共通するたった一つの正解があるわけではありません。

給付日数がどれだけ残っているか、再就職先の安定性はどうか、今後のキャリアプランはどうなっているか――こうした個別の事情によって、ベストな選択は大きく変わってきます。

実際に「もらって正解だった」と感じる方もいれば、「失業保険を満額もらってからじっくり探せばよかった」と後悔する方もいます。

大切なのは、ネットの情報をうのみにせず、自分自身の経済状況・就職先の条件・将来設計をもとに判断することです。

判断に迷ったときは、以下の観点から自分の状況を整理してみてください。

  • 失業保険を満額受け取った場合のトータル金額
  • 再就職手当として受け取れる見込み額
  • 再就職先での雇用の安定度
  • 今後3年間に再び転職する可能性があるかどうか

これらを一つひとつ確認したうえで判断すれば、後悔のない選択ができるでしょう。

基本的には受け取った方が有利になるケースが多い

多くの場合、再就職手当は受け取った方が有利になります。

その最大の理由は、早期に再就職することで職歴のブランクが短くなり、キャリア面でのダメージを最小限に抑えられるからです。

加えて、再就職手当は非課税で支給されるため、確定申告の必要もなく、まるごと手元に残るお金として使えます。

たとえば所定給付日数が90日の方が、給付日数を3分の2以上残して就職した場合、基本手当日額の70%×残日数分のまとまった金額を一括で受け取ることが可能です。

支給残日数の割合支給率イメージ(基本手当日額5,000円・残60日の場合)
所定給付日数の3分の2以上70%5,000円×60日×70%=210,000円
所定給付日数の3分の1以上60%5,000円×60日×60%=180,000円

このように、早期就職であるほど支給率が高くなり、得られる金額も大きくなる仕組みです。

就職先が安定していて長く働ける見込みがあるなら、基本的には受け取って損はないでしょう。

無条件で得とは限らない理由

一方で、再就職手当は「必ずもらった方が得」とは言い切れません。

その背景には、失業保険を最後まで受給した方がトータルの受取額が多くなるケースが存在するからです。

たとえば、基本手当日額が5,000円で所定給付日数が90日の方が、満額受給すれば合計450,000円を受け取れます。

しかし同じ方が残日数60日の時点で再就職手当(支給率70%)を申請した場合、受け取れるのは210,000円です。

  • 失業保険を満額受給した場合のトータル…450,000円
  • 再就職手当として受け取れる金額(残60日・70%)…210,000円
  • 差額は約240,000円

もちろん、早期に就職すれば給与収入も加わるため、単純な比較はできません。

ただし「再就職先をすぐに辞めてしまうリスク」や「3年間の再申請制限」なども考慮すると、全員にとって得とは限らないのが実情です。


そもそも再就職手当とはどんな制度?仕組みをわかりやすく解説

再就職手当について判断するためには、まず制度そのものを正しく理解しておくことが大切です。

「なんとなく聞いたことはあるけれど、詳しい内容はよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

再就職手当をひと言でまとめると、「失業保険をもらえる状態の方が、給付日数を残して早めに就職した場合にもらえる一時金」です。

国が早期の再就職をうながすために設けたインセンティブ制度であり、「ハローワーク就職祝い金」と呼ばれることもあります。

支給される金額は数万円から数十万円まで幅があり、就職のタイミングや前職の給与水準によって変動します。

ここでは、再就職手当の制度上の位置づけ、支給額の計算方法、そして受給に必要な条件について順番に整理していきます。

雇用保険の「就職促進給付」としての位置づけ

再就職手当は、雇用保険制度のなかの「就職促進給付」に分類されています。

雇用保険には大きく分けて4つの給付体系があり、再就職手当はそのうちの一つに含まれる制度です。

給付の種類主な内容
求職者給付(基本手当)いわゆる失業保険。失業中の生活を支える基本的な給付
就職促進給付再就職手当や就業促進定着手当など、早期就職を後押しするための給付
教育訓練給付スキルアップのための講座受講費用を一部支給
雇用継続給付育児休業給付金や介護休業給付金など、就業継続を支援する給付

再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格がある方が、給付日数を一定以上残した状態で安定した職業に就いた場合に支給される一時金です。

再就職手当とは、基本手当の受給資格の決定を受けたあとに早期に安定した職業に就き、又は事業を開始した場合に支給することにより、早期再就職を促進するための制度です。 出典:ハローワーク犬山「再就職手当について」(厚生労働省)

つまり、できるだけ早く次の仕事を見つけた方に「お祝い金」のような形でインセンティブを与える仕組みといえます。

失業保険を最後まで受け取るために就職を先延ばしにするのではなく、早期に再スタートを切ることを国が応援してくれている制度だと理解しておきましょう。

再就職手当の支給額はいくら?計算の考え方

再就職手当の金額は、自分の「基本手当日額」と「支給残日数」、そして「支給率」の3つで決まります。

計算式はとてもシンプルです。

再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60%または70%)

支給率は、再就職時点でどれだけ給付日数を残しているかによって変わります。

  • 所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合 → 支給率70%
  • 所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合 → 支給率60%

なお、基本手当日額には上限が設けられています。

2025年8月31日までの上限額は、59歳以下の方が6,395円、60歳以上65歳未満の方が5,170円です。

具体例として、基本手当日額4,000円・所定給付日数90日の方が、給付日数を3分の2以上残して就職した場合を見てみましょう。

項目数値
基本手当日額4,000円
支給残日数90日中60日以上
支給率70%
再就職手当の額4,000円 × 60日 × 70% = 168,000円

受け取れる金額は数万円から数十万円と幅がありますが、早く就職するほど支給額が増える点を覚えておいてください。

受給するために必要な条件一覧

再就職手当を受け取るには、厚生労働省が定める8つの条件をすべて満たす必要があります。

一つでも欠けていると支給対象にならないため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

支給要件は、下記1.から8.までの要件を全て満たすことが必要です。 出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」

具体的な8つの条件を整理すると、以下のとおりです。

  1. 就職日前日までの基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
  2. 1年を超えて勤務することが確実であること
  3. 待期期間(7日間)の満了後に就職していること
  4. 給付制限がある場合、最初の1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること
  5. 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
  6. 就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  7. 受給資格決定前から採用が内定していた事業主への就職でないこと
  8. 原則として雇用保険の被保険者資格を取得する条件での雇用であること

特に見落としやすいのが、6番目の「3年以内の再受給制限」です。

過去に一度でも再就職手当を受け取っている方は、前回の支給日から3年以上経過しているかを必ず確認しましょう。


再就職手当をもらわない方がいいと言われる3つの理由

ここからは、「再就職手当はもらわない方がいい」と言われることがある具体的な理由を3つに分けて解説します。

ネットや口コミで見かける否定的な意見には、それなりの根拠があります。

ただし、すべての方に当てはまるわけではなく、状況によっては気にしなくてよい理由もあるため、自分のケースに照らし合わせて判断することが大切です。

主に挙げられるのは、次の3つのポイントです。

  • 失業保険の満額受給の方がトータルで多い可能性がある
  • 短期離職すると給付の空白期間ができてしまう
  • 受給後3年間は再度の申請ができない

それぞれの理由を正しく理解しておけば、安易に飛びつくことなく冷静に判断できるようになります。

順番に詳しく見ていきましょう。

失業保険を全額受け取った方がトータルで多くなる可能性がある

再就職手当をもらわない方がいいと言われる最も大きな理由は、金額面での損得です。

再就職手当は、残りの給付日数に支給率(60%または70%)をかけた金額しか受け取れません。

つまり、仮に失業保険を最後まで受け取れば100%分もらえるところを、再就職手当に切り替えると最大でも70%分にとどまるわけです。

パターン受取額(基本手当日額5,000円・所定給付日数120日の場合)
失業保険を満額受給5,000円×120日=600,000円
残日数80日で再就職手当(70%)5,000円×80日×70%=280,000円
差額320,000円

もちろん早期就職すれば給与が入りますから、収入全体では逆転する可能性があります。

ただし「手当だけの比較」では満額受給の方が多くなるため、金額だけに注目する方にとっては不利に見えるのも事実です。

再就職先の給与水準や、就職までにかかる生活費なども含めたトータルの収支で考えることが重要になります。

短期間で再び辞めてしまうと給付の空白が生まれる

再就職手当を受け取った後に、新しい職場を短期間で辞めてしまった場合のリスクも見逃せません。

再就職手当を申請する時点で失業保険の受給資格は終了しているため、すぐに辞めてもその続きから失業保険を受け取ることは原則としてできなくなります。

  • 再就職手当を受給 → 失業保険の受給権は基本的に消滅
  • 短期間で退職 → 新たに失業保険を受けるには再度の雇用保険加入期間が必要
  • 結果として給付を受けられない「空白期間」が発生する可能性がある

ただし例外もあります。

再就職後に会社の倒産や解雇など自己都合以外の理由で離職し、前回の離職日から原則1年以内であれば、未支給分の基本手当を再び受け取れるケースもあるとされています。

とはいえ、こうした例外に該当するかはケースバイケースのため、再就職先に不安がある方は慎重になった方がいいでしょう。

受給後3年間は再度の申請ができなくなる

再就職手当には「3年ルール」と呼ばれる制約があります。

一度再就職手当を受け取ると、その就職日から3年以内は、再び再就職手当を申請することができません。

これは厚生労働省が定める受給要件の一つで、次のように明記されています。

就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと 出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」

たとえば2026年に再就職手当を受け取った場合、次に同じ手当を受けられるのは最短でも2029年以降です。

転職を数年おきに繰り返す可能性がある方や、今の段階ではキャリアの方向性が定まっていない方にとって、この3年間の制限は想像以上に影響が大きいかもしれません。

将来の転職計画も視野に入れたうえで、今このタイミングで受け取るべきかを考えてみてください。


再就職手当を受け取ることで得られるプラスの面

ここまでは「もらわない方がいい理由」を中心に見てきましたが、再就職手当には当然プラスの面もたくさんあります。

特に生活資金の確保やキャリア形成の観点では、早期就職の恩恵は非常に大きいものです。

金額だけを比べると失業保険の満額受給の方が高く見えがちですが、実際には「就職後の給与」「キャリアの連続性」「精神的な安定」など、お金以外の価値も含めて総合的に評価する必要があります。

再就職手当を受け取ることの主なプラス面は、以下の3つに集約されます。

  • まとまった一時金を早い段階で手にできる
  • 離職期間を短くして履歴書や職務経歴書の印象を守れる
  • 使途が自由な非課税のお金を新生活の準備に充てられる

それぞれのメリットを具体的に確認していきましょう。

まとまったお金を早い段階で確保できる

再就職手当の最大のメリットは、就職後の早い段階でまとまった金額を一括で受け取れる点です。

失業保険は4週間ごとに分割で支給されますが、再就職手当は申請から約1か月〜1か月半ほどで一括振り込みされます。

項目失業保険(基本手当)再就職手当
支給方法4週間ごとに分割一括支給
受取タイミング認定日ごと申請から約1〜1.5か月後
使い道の自由度生活費として少しずつ消費まとまった資金として活用可能

転職直後は何かと出費がかさむものです。

新しいスーツの購入、通勤定期の初回購入、引っ越しが必要な場合の費用など、短期間にまとまった支出が発生します。

そうしたタイミングで非課税のまとまったお金が入ってくるのは、精神的にも経済的にも大きな支えになるでしょう。

職歴のブランクを短くしてキャリアを守れる

再就職手当を目指して早期に就職することは、キャリア面でも大きなメリットがあります。

採用する企業側から見ると、失業期間が長い応募者には「なぜこの期間働いていなかったのか」という疑問が生まれやすいのが現実です。

  • 3か月以内の離職期間 → 一般的な転職活動の範囲として受け入れられやすい
  • 6か月以上の離職期間 → 面接で理由を深掘りされることが増える
  • 1年以上の離職期間 → 書類選考の段階でハードルが上がりやすい

再就職手当のインセンティブがあることで、自然と早めの就職活動に意識が向きます。

結果として離職期間が短くなれば、履歴書にも説明しやすく、次のキャリアステップをスムーズに踏み出せるでしょう。

長期的なキャリア形成を考えると、目先の給付額だけでなく、こうした見えない価値も含めて判断することが大切です。

新生活への準備資金として幅広く活用できる

再就職手当は使途の制限がなく、受け取ったお金を何に使うかは完全に自由です。

これは失業保険も同様ですが、一括で受け取れる再就職手当ならではの使い方ができるのがポイントといえます。

たとえば、以下のような活用法が考えられます。

  • 転居を伴う転職の場合の引っ越し資金
  • 新しい仕事に必要な資格取得や書籍の購入費用
  • 当面の生活費の不足分を補うための貯蓄
  • 通勤用の自転車や仕事道具の購入

再就職手当は非課税のため、受け取った全額をそのまま活用できます。

確定申告の対象にもならないので、面倒な手続きが不要な点も嬉しいポイントです。

新生活のスタートを金銭面からしっかり支えてくれる制度として、活用する価値は十分にあるでしょう。


再就職手当をもらわない方がいい人の特徴とは

再就職手当は多くの方にとってメリットのある制度ですが、状況によっては受け取らない方が賢明なケースも存在します。

「もらえるなら何でももらった方がいい」と考えがちですが、再就職手当には3年間の再申請制限や、失業保険との金額差といったデメリットもあるため、人によっては見送る方が合理的な場合もあります。

自分がどちらに当てはまるのかを冷静に見極めることが、損をしないための第一歩です。

ここでは、再就職手当をもらわない方がいいと考えられる方の特徴を3つのパターンに分けて紹介します。

自分の状況に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

転職先で長く続けられるか不安がある人

再就職手当を受け取るうえで見落としがちなのが、「再就職先での定着」が前提になっている点です。

ハローワークでは、再就職手当の支給申請後に、実際にその会社で働き続けているかどうかの在籍確認を行います。

具体的には、申請後約1か月の時点で再就職先への確認が入り、在籍していなければ支給されません。

  • 職場の雰囲気が合うか不安がある
  • 体力面・精神面で続けられるか心配
  • 試用期間中に退職してしまう可能性がある

こうした不安要素が大きい場合、無理に早期就職を目指すよりも、失業保険を受けながらじっくり合う職場を探した方が結果的に安定するかもしれません。

再就職手当を受け取った直後に退職してしまうと、手当も失業保険も受け取れない状態に陥るリスクがあるため、就職先の見極めは慎重に行いましょう。

時間をかけてじっくり仕事を探したい人

「次こそは自分に合った職場を見つけたい」「業界や職種をゼロから見直したい」と考えている方にとって、再就職手当を急いで受け取る選択は合わないかもしれません。

再就職手当は、早く就職するほど金額が大きくなる設計です。

そのため、手当を意識するあまり、十分な検討をせずに就職先を決めてしまうリスクがあります。

焦って就職した場合のリスクじっくり探した場合のメリット
ミスマッチによる短期離職自分に合った職場を見つけやすい
再就職手当の3年制限を消費制限を温存しておける
キャリアの方向性がブレる長期的なキャリアプランを練れる

2025年4月から自己都合退職者の給付制限期間が2か月から1か月に短縮されたことで、失業保険をもらい始めるまでの待ち時間も減りました。

以前よりも余裕をもって転職活動に取り組める環境が整ってきているため、無理に急がず、納得のいく就職先を見つけることを優先してもよいでしょう。

残りの給付日数が少なく支給額が小さい人

再就職手当の受給条件として、所定給付日数の3分の1以上を残していることが求められます。

逆にいえば、給付日数のほとんどを消化してしまっている状態では、受け取れる手当の額がかなり小さくなります。

たとえば所定給付日数90日のうち、残りが30日ギリギリの場合を見てみましょう。

  • 基本手当日額5,000円 × 残日数30日 × 支給率60% = 90,000円

この金額であれば、あえて手当を申請するよりも、残りの30日間を失業保険として満額(150,000円)受け取った方が金額的には多くなります。

支給額が小さいケースでは、再就職手当を申請する手間や3年間の再申請制限というデメリットの方が大きくなりがちです。

残日数が少ない場合は、手当の申請を見送って失業保険の受給を続ける方が合理的な判断となることもあります。


反対に再就職手当を受け取った方がいい人のパターン

前のセクションでは「もらわない方がいい人」を紹介しましたが、逆に積極的に受け取った方がいいケースもあります。

再就職手当は本来、早期就職を応援するための制度です。

そのため、良い就職先がすでに見つかっている方や、給付日数を多く残している方にとっては、制度の恩恵をフルに受けられるチャンスといえます。

「もらえるものはもらっておきたい」というだけでなく、自分の状況が手当を受け取るのに適したタイミングかどうかを見極めることがポイントです。

以下に当てはまるパターンの方は、前向きに申請を検討してみましょう。

  • 希望に合った職場からすでに内定を得ている
  • 給付日数を多く残した早い段階で就職できそう
  • 再就職先の年収が前職以上の見込みがある

それぞれのケースを具体的に見ていきます。

希望に合った職場にすでに内定が出ている人

すでに自分の希望条件に合った企業から内定が出ている方は、再就職手当を受け取る絶好のタイミングです。

ただし一つ注意点があります。

再就職手当の受給条件として、「受給資格決定前から採用が内定していた事業主への就職でないこと」というルールがあります。

つまり、ハローワークで失業保険の手続きをする前にすでに内定をもらっていた場合は、その就職先について再就職手当は受け取れません。

  • 受給資格決定後に応募し、内定を得た → 受給対象
  • 受給資格決定前に内定が出ていた → 受給対象外

この条件さえクリアしていれば、納得できる企業への就職と再就職手当の受給を両立できます。

希望に合った職場で長く働ける見込みがあるなら、手当の受給は生活のスタートダッシュを後押ししてくれるでしょう。

給付日数を多く残した状態で早期に就職できた人

再就職手当の支給額は、残りの給付日数が多いほど大きくなります。

特に、所定給付日数の3分の2以上を残して就職できた方は、支給率が70%に上がるため、まとまった金額を受け取れるチャンスです。

所定給付日数3分の2以上残す目安3分の1以上残す目安
90日60日以上30日以上
120日80日以上40日以上
150日100日以上50日以上
180日120日以上60日以上
270日180日以上90日以上

たとえば所定給付日数270日の方が180日以上を残して就職できれば、基本手当日額4,000円の場合、4,000円×180日×70%=504,000円もの再就職手当を一括で受け取ることができます。

このケースでは、失業保険を受給し続けるよりも早期就職のメリットの方が圧倒的に大きくなります。

就職活動が順調に進み、早い段階で良い企業に出会えた方は、迷わず受給を検討してみてください。

再就職後の収入が前職より上がる見込みがある人

再就職先の給与が前職と同等以上であれば、再就職手当を受け取ることのメリットはさらに大きくなります。

その理由は、収入アップによって失業保険に頼る必要性そのものが下がるからです。

加えて、再就職先での賃金が前職より低い場合に支給される「就業促進定着手当」という制度もありますが、収入が上がっている場合はそもそもこの追加給付を気にする必要がありません。

  • 前職より年収が上がる → 再就職手当+高い給与で経済的に安定
  • 前職と同等の年収 → 再就職手当が純粋なプラス収入になる
  • 前職より年収が下がる → 就業促進定着手当でカバーできる可能性はあるが、メリットは相対的に小さくなる

収入が上がる転職は、再就職手当の恩恵を最大限に享受できるパターンです。

年収アップが見込める方は、積極的に手当を受け取りましょう。


再就職手当をもらわない方がいいかの判断で押さえるべきポイント

ここまで「もらった方がいい人」と「もらわない方がいい人」のパターンを見てきました。

両方の特徴を理解したうえで、最終的に自分がどちらに近いかを判断するには、いくつかの具体的な確認作業が必要になります。

感覚や印象だけで決めてしまうと、後になって「あのときこうしておけば…」と悔やむことにもなりかねません。

ここでは、後悔しない判断をするために押さえておきたい3つのチェックポイントを紹介します。

金額のシミュレーション、キャリアの見通し、そして最新の制度改正情報の3つを柱に、自分に最適な選択を導き出していきましょう。

失業保険の満額受給額と再就職手当の金額を比べてみる

まず最初にやるべきことは、「失業保険を最後まで受け取った場合の合計額」と「再就職手当として受け取れる金額」を具体的に比較することです。

以下の手順で計算してみてください。

  1. 自分の基本手当日額を確認する(雇用保険受給資格者証に記載)
  2. 所定給付日数を確認する
  3. 基本手当日額 × 所定給付日数 = 失業保険の満額を計算する
  4. 想定する就職タイミングでの残日数を割り出す
  5. 基本手当日額 × 残日数 × 支給率(60%or70%)= 再就職手当の金額を計算する
  6. 差額を確認する

この差額に加えて、「早期就職した場合に得られる給与収入」も足し合わせて考えると、より正確な判断ができます。

手当の金額だけで判断するのではなく、就職後の給与も含めたトータルの経済状況で比較することがポイントです。

再就職先の安定性と長期的なキャリアプランから考える

金額面の比較だけでなく、再就職先の安定性や自分のキャリアプランとの整合性も判断材料に加えてください。

再就職手当を受け取ることは、言い換えると「この会社で長く働く」という選択を後押しする行為でもあります。

チェック項目確認ポイント
雇用形態正社員か契約社員か。1年以上の雇用が見込めるか
企業の経営状態業績が安定しているか。直近で人員整理の動きはないか
自分との相性仕事内容や職場の雰囲気が自分に合っているか
キャリアの方向性3年後、5年後の自分の目指す姿と一致しているか

もし再就職先に不安を感じるなら、手当の受給は見送って失業保険をもらいながらじっくり探す選択肢も十分にあります。

手当の金額よりも、長期的に安定した働き方を実現することの方が、結果的には大きなリターンにつながるはずです。

2025年4月の制度改正で変わった点もチェックしておこう

再就職手当の判断をするうえで、2025年4月に実施された雇用保険法の改正内容も把握しておきましょう。

再就職手当そのものの制度には変更はありませんが、周辺の制度に大きな動きがありました。

主な改正ポイントは以下のとおりです。

  • 自己都合退職時の給付制限期間が2か月から1か月に短縮
  • 教育訓練を受講した場合は給付制限が解除される新制度が導入
  • 就業手当(短期就労向けの手当)が廃止
  • 就業促進定着手当の支給上限が40%から20%に引き下げ

特に影響が大きいのは、就業促進定着手当の上限引き下げです。

これまでは再就職後に賃金が下がっても手厚い補填が受けられましたが、改正後は補填額が減少しています。

そのため「賃金が下がってでも早く就職した方がいい」とは以前ほど言い切れなくなりました。

改正内容をふまえたうえで、自分にとって最適なタイミングと選択を見極めてください。


再就職手当の申請手続きの流れと注意すること

再就職手当を受け取ると決めたら、次は具体的な申請手続きを進める必要があります。

手続きにはいくつかのステップがあり、申請の期限も厳密に定められています。

「就職が決まったから、あとは自動的に振り込まれるだろう」と考えていると、期限切れで受給できなかったという事態にもなりかねません。

実際の流れとしては、再就職先から採用証明書をもらい、ハローワークに届け出て、支給申請書を提出するという手順を踏みます。

途中で書類の不備や確認漏れがあると審査が滞ることもあるため、全体の流れを事前に把握しておくことが非常に重要です。

ここでは、ステップごとの手順、申請期限に関する注意点、そして知っておきたい追加の制度について解説します。

ハローワークへの届け出から支給までのステップ

再就職手当の申請手続きは、以下のような流れで進みます。

  1. 再就職が決まったらハローワークに報告する
  2. 再就職先に「採用証明書」を記入してもらう
  3. 採用証明書・雇用保険受給資格者証・失業認定報告書をハローワークに提出する
  4. ハローワークで要件を確認のうえ「再就職手当支給申請書」を受け取る
  5. 再就職先に申請書の必要事項を記入・証明してもらう
  6. 再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格者証をハローワークに提出する
  7. ハローワークの審査後、約1か月〜1か月半で指定口座に振り込まれる

特に大切なのは、再就職が決まった時点ですぐにハローワークに連絡することです。

報告が遅れると手続き全体が後ろ倒しになり、受給が遅れる原因になります。

ステップ目安の所要時間
就職報告〜採用証明書提出就職日から数日以内
申請書の提出就職日翌日から1か月以内
審査〜振込申請から約1〜1.5か月

就職後はバタバタしがちですが、期限を意識してスケジュールを組んでおくと安心です。

申請期限を過ぎてしまった場合はどうなる?

再就職手当の申請は、原則として就職日の翌日から1か月以内に行うことになっています。

「忙しくて手続きを忘れてしまった」という方もいるかもしれませんが、1か月を過ぎたからといって完全に権利を失うわけではありません。

再就職手当の時効は、就職日の翌日から2年間とされています。

  • 原則の提出期限 → 就職日翌日から1か月以内
  • 時効 → 就職日翌日から2年以内

申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ 出典:厚生労働省

つまり、1か月を過ぎてしまっても2年以内であれば申請は受け付けてもらえる可能性があります。

ただし、期限を過ぎた場合は通常よりも審査に時間がかかったり、追加書類を求められるケースもあるため、できる限り期限内に手続きを済ませるようにしましょう。

就業促進定着手当という追加制度も知っておこう

再就職手当を受け取った方が対象となる追加の制度として、「就業促進定着手当」があります。

この手当は、再就職手当を受給した方が再就職先で6か月以上働き、なおかつ6か月間の賃金が離職前の賃金より低い場合に、その差額の一部を補填してくれるものです。

  • 対象者 → 再就職手当を受給し、6か月以上継続して就業した方
  • 支給条件 → 再就職先の6か月間の賃金が前職より低いこと
  • 支給上限 → 基本手当の支給残日数の20%(2025年4月改正後)

2025年4月の改正前は上限が30%〜40%でしたが、改正後は一律20%に引き下げられています。

項目改正前改正後(2025年4月〜)
支給上限(残日数の70%が再就職手当として支給された場合)残日数の30%残日数の20%
支給上限(残日数の60%が再就職手当として支給された場合)残日数の40%残日数の20%

上限は下がったものの、賃金が下がった方にとっては引き続き助けになる制度です。

再就職手当と合わせて活用することで、経済的な負担を軽減できるため、対象になりそうな方は忘れずに申請しましょう。


再就職手当にまつわるよくある疑問Q&A

最後に、再就職手当に関してよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

制度の細かいルールは複雑で、公式の案内を読んでも理解しきれない部分が多いものです。

「自分のケースではどうなるんだろう」という不安を抱えたまま申請を進めるのは、精神的にも負担が大きくなります。

ここでは、特に問い合わせが多い4つの疑問を取り上げています。

  • 手当受給後にすぐ退職した場合の取り扱い
  • パートやアルバイト、派遣社員でも対象になるのか
  • 年金への影響があるのか
  • 開業やフリーランスの場合はどうなるのか

それぞれの疑問について、できるだけわかりやすくお答えしていきます。

再就職手当をもらった後にすぐ退職したらどうなる?

再就職手当の支給が確定した後に退職した場合、原則として手当の返金を求められることはありません。

ただし、支給決定前に退職してしまうと話は別です。

ハローワークは申請後に在籍確認を行うため、確認時点で退職していると支給されないケースがあります。

  • 支給決定後に退職した場合 → 返金の義務はない
  • 支給決定前(在籍確認の前)に退職した場合 → 支給されないことがある

また、短期離職後に再び失業状態になった場合、前回の受給期間内(原則1年以内)であれば、残りの基本手当を受給できる可能性もゼロではありません。

ただし、これは離職理由が会社都合であるなどの条件が絡むため、状況によって異なります。

不安がある方は、退職前にハローワークの窓口で個別に相談することをおすすめします。

パートやアルバイト、派遣でも対象になる?

正社員以外の雇用形態であっても、再就職手当の受給は可能です。

パートやアルバイト、派遣社員であっても、8つの受給条件をすべて満たしていれば対象となります。

特に重要になるのは、以下の2つの条件です。

  • 1年を超えて勤務することが確実であること(契約更新の見込みを含む)
  • 再就職先で雇用保険に加入すること
雇用形態再就職手当の対象になるか
正社員条件を満たせば対象
契約社員(1年以上の更新見込みあり)条件を満たせば対象
パート・アルバイト(雇用保険加入・1年超の見込みあり)条件を満たせば対象
派遣社員(1年超の就業見込みあり)条件を満たせば対象
短期の日雇い・1年未満の契約で更新なし対象外

契約社員や派遣社員の場合は、契約更新の可能性が明記されているかどうかがポイントになります。

判断に迷う場合は、雇用契約書を持参してハローワークに相談するのが確実です。

再就職手当を受け取ると年金に影響はある?

結論からいうと、再就職手当を受け取ったことによって年金が減額されたり停止されたりすることはありません。

再就職手当は雇用保険からの給付であり、年金制度とは別の枠組みで運営されています。

  • 再就職手当は非課税で支給される
  • 年金の計算には影響しない
  • 確定申告の対象にもならない

ただし、失業保険(基本手当)と老齢厚生年金の関係については注意が必要です。

65歳未満の方が基本手当を受給している期間は、老齢厚生年金が一時的に支給停止になることがあります。

再就職手当自体には年金への影響はないものの、失業保険の受給期間中は年金との調整が発生し得るため、60歳以上の方は念のためハローワークまたは年金事務所に確認しておくと安心です。

開業・フリーランスの場合は支給対象になる?

個人事業主として開業する場合やフリーランスになる場合でも、条件を満たせば再就職手当の支給対象になります。

再就職手当の受給要件には「事業を開始した場合」も含まれているため、企業への就職に限定されているわけではありません。

ただし、企業への再就職とは異なるいくつかの注意点があります。

  • 待期期間(7日間)の満了後に開業すること
  • 自己都合退職の場合は、さらに1か月の給付制限期間経過後に開業すること
  • 1年以上事業を継続できる見込みがあると認められること
  • 開業届の控えや業務委託契約書など、事業の実態を証明する書類が必要
項目企業への再就職開業・フリーランス
支給対象○(条件を満たせば)
開始タイミング待期期間後待期期間+給付制限期間後(自己都合の場合)
証明書類採用証明書開業届の控え・業務委託契約書など
就業促進定着手当対象になる場合あり対象外(雇用関係がないため)

注意すべき点として、フリーランスの場合は「就業促進定着手当」を受け取ることができません。

就業促進定着手当は再就職先で6か月以上雇用されることが条件のため、雇用関係のないフリーランスは対象外となります。

開業を検討している方は、事前にハローワークの窓口で必要書類や手続きの流れを確認しておくことを強くおすすめします。