扶養に入りながら失業保険をもらうとばれる?発覚した場合のリスクと正しい対処法
退職後に「扶養に入ったまま失業保険をもらえないかな」と考える方は少なくありません。
できるだけ出費を抑えながら、もらえるお金はしっかり受け取りたいと思うのは当然のことです。
しかし、扶養の条件を満たさないまま失業保険(雇用保険の基本手当)を受給すると、あとから発覚して大きなペナルティを受けるリスクがあります。
本記事では、なぜばれるのか、ばれた場合にどんな請求が発生するのか、そして正しい手続きの流れまでをわかりやすく解説します。
退職後のお金や手続きに不安がある方は、まずは専門家への無料相談を活用するのがおすすめです。
扶養に入りながら失業保険を受け取ると本当にばれるのか?
結論からお伝えすると、扶養に入ったまま失業保険を受給していることは、高い確率で発覚します。
「バレなければ大丈夫」と軽く考えてしまう方もいますが、社会保険の仕組みには複数のチェック機能が組み込まれています。
特に近年はマイナンバーの活用による情報連携が進んでおり、行政機関や健康保険組合が個人の収入状況を把握しやすくなっています。
以下のような場面で発覚することが多いとされています。
- 健康保険組合による定期的な被扶養者資格の確認調査
- マイナンバーを通じた所得情報や給付情報の突合
- 配偶者の勤務先で行われる年末調整時の書類チェック
- 被扶養者の収入証明を求められたタイミング
このように、ばれるきっかけは一つではなく、複数のルートから発覚する可能性があることを理解しておきましょう。
なぜ発覚するのか?健康保険組合がチェックする仕組み
健康保険組合は年に一度、もしくは不定期に「被扶養者の資格確認調査(検認)」を実施しています。
この調査では、被扶養者が引き続き扶養の要件を満たしているかを確認するために、収入を証明する書類の提出が求められます。
たとえば、非課税証明書や所得証明書のほか、ハローワークの「雇用保険受給資格者証」の写しを提出するよう指示されるケースがあります。
全国健康保険協会(協会けんぽ)でも、被扶養者の確認について以下のように説明しています。
「健康保険の被扶養者についても、収入の増加や就職等により被扶養者の要件を満たさなくなった場合は届出が必要です」
この確認調査のタイミングで失業保険の受給実績が判明すれば、扶養の要件を超えていたことが明らかになります。
さらに、マイナンバー制度によって雇用保険の給付データと健康保険の情報が連携されつつあるため、自己申告しなくても自動的に不整合が検知される可能性が高まっています。
「書類を出さなければ大丈夫」ということはなく、提出しない場合は扶養資格そのものが取り消されるリスクもあるため、隠し通すことは現実的ではありません。
「ばれなかった」という声があっても安心できない理由
ネット上では「扶養のまま失業保険をもらったけど何も言われなかった」という体験談を見かけることがあります。
しかし、それはたまたまその時点では発覚していなかっただけであり、将来的にばれないことを保証するものではありません。
安心できない理由を整理すると、次のようになります。
- 被扶養者の資格確認調査は毎年行われるため、翌年以降に発覚することがある
- マイナンバーによる情報連携は年々拡大しており、過去の給付記録もさかのぼって照合される
- 配偶者が転職したタイミングで新しい健康保険組合に過去の記録が引き継がれ、不正が判明することもある
- 医療費が高額になった際の審査で、被扶養者資格の再確認が入ることがある
つまり、発覚する時期が「今」ではなく「数年後」になるケースも十分にありえるのです。
しかもその場合、遡って請求される金額が膨らむため、ダメージはさらに大きくなります。
「ばれなかった人もいるから大丈夫」という考えは非常に危険であり、正しい手続きを踏むことが何よりの自己防衛になります。
そもそも扶養に入りながら失業保険を受給できる条件とは
「扶養に入っている人は失業保険をもらえないのか」というと、実はそうとも限りません。
失業保険を受給すること自体は、扶養に入っているかどうかとは直接関係がなく、あくまで雇用保険の加入実績があれば受給資格を得られます。
問題になるのは、失業保険を受給することで「扶養の収入要件」を超えてしまう場合です。
扶養に入りながら失業保険を受け取れるかどうかは、以下の3つのポイントによって決まります。
- 社会保険上の扶養と税法上の扶養のどちらの話をしているか
- 基本手当日額がいくらであるか
- 待機期間や給付制限期間中であるかどうか
これらを正しく理解すれば、扶養のまま受け取れるケースと、外れなければならないケースの判断ができるようになります。
知っておきたい「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の違い
「扶養」という言葉は同じでも、社会保険と税法では条件がまったく異なります。
この違いを知らないまま手続きを進めてしまうと、思わぬトラブルの原因になるため、まずはしっかり区別しておきましょう。
| 項目 | 社会保険上の扶養 | 税法上の扶養 |
|---|---|---|
| 対象制度 | 健康保険・国民年金(第3号被保険者) | 所得税・住民税 |
| 収入の判定基準 | 年間収入130万円未満(見込み) | その年の合計所得48万円以下 |
| 失業保険の扱い | 収入に含まれる | 非課税所得のため含まれない |
| 判定のタイミング | 今後1年間の見込み収入で判定 | 1月~12月の確定した所得で判定 |
ここで特に重要なのは、失業保険(基本手当)は税法上は非課税所得であるため、所得税の計算には含まれないという点です。
つまり、税法上の扶養(配偶者控除や配偶者特別控除)に関しては、失業保険を受け取っても影響を受けません。
一方で、社会保険上の扶養では失業保険の受給額も「収入」としてカウントされます。
この違いを混同してしまうと、「失業保険は非課税だから扶養に影響しない」と誤った判断をしてしまうことになります。
基本手当日額3,612円が扶養の分かれ目になる理由
社会保険上の扶養に入るためには、年間収入が130万円未満である必要があります。
この130万円を1日あたりに換算すると、次のような計算になります。
130万円 ÷ 360日 = 約3,611円
つまり、失業保険の基本手当日額が3,612円以上になると、年間収入130万円を超える見込みとなり、社会保険上の扶養から外れなければなりません。
実際にどのくらいの金額が目安になるのかを表にまとめました。
| 基本手当日額 | 年間換算(×360日) | 扶養の可否 |
|---|---|---|
| 3,000円 | 108万円 | 扶養に入れる |
| 3,500円 | 126万円 | 扶養に入れる |
| 3,612円 | 約130万円 | 扶養から外れる |
| 4,000円 | 144万円 | 扶養から外れる |
| 5,000円 | 180万円 | 扶養から外れる |
多くの方は、正社員として働いていた場合、基本手当日額が3,612円を超えるケースがほとんどです。
そのため、退職前にフルタイムで勤務していた方は、失業保険の受給中は扶養に入れない可能性が高いと考えておきましょう。
なお、基本手当日額は「雇用保険受給資格者証」に記載されているため、ハローワークで手続きをした際に確認できます。
待機期間・給付制限中なら扶養のままでいられる
失業保険には、申請してからすぐに受給が始まるわけではなく、一定の「待機期間」や「給付制限期間」が設けられています。
この期間中はまだ失業保険を受け取っていない状態なので、扶養の収入要件に影響しません。
それぞれの期間について整理しておきます。
- 待機期間は、ハローワークで求職申し込みをしてから7日間のことで、退職理由にかかわらず全員に適用されます
- 給付制限期間は、自己都合退職の場合に待機期間の後に設けられる期間で、原則として2か月間です(令和7年4月以降の制度改正により、従来の原則3か月から2か月に短縮されています)
- 会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、給付制限期間がなく、待機期間の翌日から受給が始まります
「令和7年4月1日以降に離職された方については、正当な理由のない自己都合退職の場合であっても、給付制限期間が原則1か月に短縮されます。」
つまり、自己都合退職の方であれば、待機期間7日間+給付制限期間の間は扶養のままでいることができます。
この仕組みを活用すれば、失業保険を受給しつつも、扶養から外れる期間を最小限に抑えることが可能です。
扶養に入りながら失業保険を受給してばれた場合に起こるペナルティ
もし扶養の収入要件を超えた状態で失業保険を受給していたことが発覚した場合、複数のペナルティが同時に発生する可能性があります。
「知らなかった」という言い分は基本的に通用せず、手続き上のルールに従って遡及的な処理が行われます。
主なペナルティとしては、次のようなものが挙げられます。
- 国民健康保険料の遡及請求
- 医療費の自己負担分(7割)の返還
- 年金記録の種別変更と保険料の追納
- 配偶者の勤務先への影響
一つひとつの金額は決して小さくないため、合計すると数十万円以上の負担になるケースもあります。
以下で、それぞれの内容を具体的に確認していきましょう。
国民健康保険料を遡って請求される
扶養の要件を満たしていなかった期間が判明すると、その期間中は「国民健康保険に加入すべきだった」とみなされます。
つまり、配偶者の健康保険から遡って扶養資格が取り消され、代わりに自分自身で国民健康保険に加入していたものとして保険料が請求されます。
国民健康保険料は自治体によって異なりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
| 年間収入の目安 | 国民健康保険料の年額(概算) |
|---|---|
| 100万円程度 | 約5万〜8万円 |
| 130万円程度 | 約8万〜12万円 |
| 150万円程度 | 約10万〜15万円 |
※金額は自治体・世帯構成により大きく異なります
この保険料は、扶養から外れるべきだった時点まで遡って計算されます。
発覚が遅れるほど遡及期間が長くなり、一括で支払わなければならない金額も膨らみます。
市区町村の窓口で事情を説明すれば分割払いに応じてもらえることもありますが、支払い義務そのものがなくなるわけではありません。
その期間に使った医療費の7割を返金する必要がある
扶養資格が遡って取り消されると、その期間中に使った健康保険証も「本来は使えなかったもの」として扱われます。
日本の健康保険制度では、医療費の自己負担は原則3割で、残りの7割は保険者(健康保険組合や協会けんぽ)が負担しています。
扶養が取り消された期間に病院を受診していた場合、その7割分を保険者に返還しなければなりません。
具体的にどのくらいの金額になるのか、イメージしやすいように例を示します。
| 医療費の総額 | 窓口で支払った3割 | 返還が必要な7割 |
|---|---|---|
| 1万円 | 3,000円 | 7,000円 |
| 5万円 | 15,000円 | 35,000円 |
| 10万円 | 30,000円 | 70,000円 |
| 30万円 | 90,000円 | 210,000円 |
大きな病気や入院があった場合は、返還額が非常に高額になる恐れがあります。
なお、返還後に正しい保険(国民健康保険)へ加入手続きを行えば、その保険から改めて7割分の給付を受けることは可能です。
ただし、その手続きには時間がかかり、一時的に全額を自費で負担する期間が生じることもあるため、経済的な負担は小さくありません。
年金記録が第3号から第1号に修正される
配偶者の扶養に入っている場合、国民年金の種別は「第3号被保険者」となり、保険料を自分で納める必要がありません。
しかし、扶養の要件を満たしていなかった期間があれば、その間の年金記録は「第1号被保険者」に変更されます。
第1号被保険者になると、自分自身で国民年金保険料を納めなければなりません。
「第3号被保険者の届出が届出の届出事由発生日から遅れた場合、届出日前の2年間のみ第3号被保険者期間として算入されます。」
引用元:日本年金機構「国民年金の第3号被保険者制度のご説明」
令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円です。
仮に6か月間遡って修正された場合、約10万円の追加負担が発生する計算になります。
さらに、未納のまま放置すると将来の年金受給額にも影響するため、できるだけ早く対応することが大切です。
配偶者の勤務先にも迷惑がかかる可能性
扶養に関する届出は、配偶者の勤務先を通じて行われます。
そのため、扶養資格の取り消しが発生すると、配偶者の会社の人事・総務部門にも対応の手間が生じます。
具体的には、以下のような影響が考えられます。
- 被扶養者の異動届(資格喪失届)を遡って提出し直す必要がある
- 会社が負担した保険料の精算処理が発生する
- 配偶者の年末調整や税務申告の内容に修正が必要になる場合がある
- 会社の信用管理上、従業員への注意指導が行われることもある
特に大企業や健康保険組合が独自に運営されている場合は、チェックが厳しい傾向があります。
配偶者の職場での評価や信頼に影響を与えかねないという点も、見落としてはいけないリスクです。
正しい手続きをきちんと踏んでいれば、こうした事態は確実に防げます。
扶養に入りながら失業保険をもらうための正しい手続きの流れ
扶養と失業保険を上手に組み合わせるためには、タイミングごとに正しい手続きを行うことが欠かせません。
特に自己都合退職の場合は、給付制限期間を利用して扶養に入れる期間があるため、正しく手続きすれば合法的にメリットを最大化できます。
全体の流れを時系列で整理すると、次のようになります。
| 時期 | やるべきこと | 扶養の状態 |
|---|---|---|
| 退職直後 | 配偶者の扶養に加入手続き | 扶養に入る |
| 待機期間(7日間) | ハローワークで求職申し込み | 扶養のまま |
| 給付制限期間(自己都合の場合) | 就職活動をしながら扶養を継続 | 扶養のまま |
| 失業保険の受給開始 | 扶養から外れ、国保・国民年金に加入 | 扶養から外れる |
| 受給終了後 | 再び配偶者の扶養に加入手続き | 扶養に戻る |
この流れを把握したうえで、各段階で必要な手続きを詳しく見ていきましょう。
退職直後〜待機期間中にやるべきこと
退職した日の翌日から、それまで加入していた健康保険の資格を失います。
そのため、速やかに配偶者の扶養に入る手続きを始めることが重要です。
退職直後に行うべきことを順番に整理します。
- 退職先から「離職票」「雇用保険被保険者証」「資格喪失証明書」を受け取る
- 配偶者の勤務先に被扶養者の追加届出を提出する(資格喪失証明書などが必要)
- ハローワークで求職の申し込みと失業保険の受給手続きを行う
- 「雇用保険受給資格者証」を受け取り、基本手当日額を確認する
ここで注意したいのは、離職票が届くまでに2週間程度かかることがあるため、退職前から必要書類について勤務先に確認しておくとスムーズです。
また、基本手当日額が3,612円未満であれば、受給が始まっても扶養のまま継続できる可能性があるため、金額の確認は必ず行いましょう。
待機期間の7日間は、失業保険の受給がまだ始まっていない状態なので、扶養に入っていても問題ありません。
給付制限期間が終了したら扶養を外す手続きへ
自己都合退職の場合、待機期間のあとに給付制限期間があります。
この給付制限期間が終わり、実際に失業保険の受給が始まるタイミングで、基本手当日額が3,612円以上であれば扶養から外れる手続きが必要です。
扶養を外す際に行う手続きは以下のとおりです。
- 配偶者の勤務先に「被扶養者異動届(資格喪失)」を提出する
- お住まいの市区町村の窓口で国民健康保険の加入手続きを行う
- 同時に国民年金の第1号被保険者への種別変更届を提出する
手続きの際には、雇用保険受給資格者証のコピーや、扶養から外れたことがわかる書類を持参するとスムーズに進みます。
国民健康保険料や国民年金保険料の負担が発生しますが、これは失業保険の受給期間中だけの一時的なものです。
受給期間をあらかじめ把握しておけば、どのくらいの期間・金額の負担が生じるかを事前に計算できます。
面倒に感じるかもしれませんが、この手続きをきちんと行うことが、後々のトラブルを防ぐ最善の方法です。
受給が終わったら再び扶養に戻る方法
失業保険の受給がすべて終了し、かつ他に収入がない(または収入が130万円未満の見込みである)場合、再び配偶者の扶養に戻ることができます。
扶養に戻るための手続きは、次の順番で進めます。
- ハローワークで「雇用保険受給資格者証」に受給終了のスタンプが押されていることを確認する
- 配偶者の勤務先に再び被扶養者の追加届出を提出する
- 受給終了がわかる書類(受給資格者証のコピーなど)を添付する
- 国民健康保険と国民年金の資格喪失届を市区町村に提出する
配偶者の勤務先での手続きが完了すると、新しい健康保険証が発行されます。
国民健康保険の資格喪失届を出し忘れると、保険料が二重に発生してしまうことがあるため、必ず両方の手続きをセットで行いましょう。
なお、受給終了後にパートやアルバイトで働き始める予定がある場合は、その収入も含めて年間130万円未満に収まるかどうかを確認しておく必要があります。
扶養に入りながら失業保険をもらうのとどちらが得か比較してみよう
「失業保険をもらうために扶養を外れるのと、扶養に入り続けるのと、結局どちらが得なのか」という疑問は多くの方が抱きます。
答えは一律ではなく、基本手当日額や受給日数、扶養に入ることで節約できる保険料の金額によって変わります。
おおまかな比較の目安を表にまとめます。
| 比較項目 | 失業保険を受給する場合 | 扶養を継続する場合 |
|---|---|---|
| 受け取れるお金 | 基本手当日額 × 受給日数 | なし(受給しない) |
| 健康保険料 | 国民健康保険料を自己負担 | 配偶者の保険に無料で加入 |
| 年金保険料 | 国民年金保険料を自己負担 | 第3号で保険料なし |
| 手続きの手間 | 扶養の出入りの手続きが必要 | 特に手続き不要 |
この表を見ると、失業保険で受け取れる総額が、扶養を外れている間に支払う保険料の合計を上回れば、失業保険を選んだほうが経済的に有利ということがわかります。
失業保険を選んだほうが有利になるケース
基本手当日額が高く、受給日数が長い方ほど、扶養を外れてでも失業保険を受給したほうが得になります。
たとえば以下のような条件に当てはまる方は、失業保険を選ぶメリットが大きいでしょう。
- 基本手当日額が5,000円以上ある
- 所定給付日数が90日以上ある
- 退職前の月収が20万円以上だった
- 受給期間中にあまり病院を利用しない見込みである
具体例として、基本手当日額5,000円で所定給付日数が90日の場合を計算してみます。
失業保険の総受給額は5,000円 × 90日 = 45万円になります。
一方、扶養を外れている3か月間の国民健康保険料と国民年金保険料を合計すると、おおよそ7万〜10万円程度です。
差し引きしても35万〜38万円ほどのプラスになるため、この場合は失業保険を選んだほうが明らかに有利です。
扶養を優先したほうが有利になるケース
反対に、失業保険の受給額が少ない方や、受給日数が短い方は、扶養に入り続けるほうが結果的に得になることがあります。
以下のような条件に当てはまる場合は、扶養を優先する選択肢も検討してみてください。
- 基本手当日額が3,612円をわずかに超える程度である
- 所定給付日数が90日未満と短い
- 受給期間中に通院の予定があり、医療費がかさむ見込みがある
- 手続きの負担をできるだけ減らしたい
たとえば、基本手当日額3,700円で所定給付日数が90日の場合、失業保険の総受給額は33万3,000円です。
扶養を外れている間の保険料負担が合計7万〜10万円とすると、手元に残るのは23万〜26万円程度になります。
さらに通院費などを考慮すると、実質的な手取りはさらに下がります。
この金額が大きいと感じるか小さいと感じるかは個人の状況次第ですが、扶養に入り続けることで保険料ゼロ・手続き不要というメリットを享受できる点も見逃せません。
自分の状況に合った判断をするためのチェックポイント
最終的な判断は個々の事情によって異なるため、以下のチェックポイントを確認しながら検討してみてください。
- 基本手当日額はいくらか(雇用保険受給資格者証で確認)
- 所定給付日数は何日か
- お住まいの自治体の国民健康保険料はどのくらいか
- 受給期間中に大きな医療費がかかる予定はあるか
- 配偶者の健康保険組合の扶養条件に独自のルールはないか
特に、配偶者の会社の健康保険組合が独自の基準を設けている場合があるため、必ず事前に確認しておきましょう。
たとえば、一部の組合では基本手当日額の基準が3,612円ではなく異なる金額を設定しているケースもあります。
判断に迷ったときは、ハローワークや年金事務所、配偶者の勤務先の人事担当者に相談するのが確実です。
焦って決める必要はないので、情報を集めたうえで冷静に比較検討しましょう。
扶養に入りながら失業保険を受給するときによくある疑問
扶養と失業保険に関しては、細かな疑問や不安を抱えている方が多くいます。
ここでは、特によく寄せられる質問について一つずつ回答していきます。
自分の状況に近い疑問があれば、ぜひ参考にしてください。
- 知らずに扶養のまま受給していた場合の対処法
- パートやアルバイト収入がある場合の判定
- 退職理由による扶養のタイミングの違い
- 不正受給に該当するケース
知らずに扶養のまま失業保険をもらっていた場合はどうすればいい?
「制度をよく知らなくて、扶養のまま失業保険を受け取ってしまった」という方は、できるだけ早く対処することが大切です。
意図的な不正ではなくても、手続き上の修正は必要になります。
まず行うべきことを順番に整理します。
- 配偶者の勤務先(健康保険組合)に事情を説明し、被扶養者の遡及喪失届を提出する
- 市区町村の窓口で国民健康保険と国民年金の加入手続きを行う(遡及加入になる場合が多い)
- 遡及期間中に使った医療費があれば、保険者から返還請求の案内が届くのを待ち、指示に従って対応する
早期に自己申告した場合、悪意がなかったことが考慮され、手続きがスムーズに進むことが多いです。
放置すればするほど遡及期間が延び、請求額も大きくなるため、気づいた時点ですぐに動くことが最善の対応です。
パート・アルバイト収入がある場合の扶養判定はどうなる?
失業保険の受給中にパートやアルバイトで収入を得る場合、その収入も合算して扶養の判定が行われます。
社会保険上の扶養では「今後1年間の見込み収入が130万円未満」が基準となるため、失業保険の日額とパート収入の合計で判断されます。
判定の考え方を表にまとめます。
| 収入の種類 | 社会保険上の扶養の判定 | 税法上の扶養の判定 |
|---|---|---|
| 失業保険の基本手当 | 収入に含まれる | 含まれない(非課税) |
| パート・アルバイト収入 | 収入に含まれる | 所得に含まれる |
| 合計の判定基準 | 年間130万円未満 | 合計所得48万円以下 |
たとえば、失業保険を受給しながら週2日のパートで月5万円の収入がある場合、失業保険の日額分とパート収入の合計が年間130万円を超えるかどうかがポイントになります。
また、失業保険の受給中にアルバイトをする場合は、ハローワークへの申告も忘れずに行いましょう。
申告を怠ると、不正受給として扱われる可能性があるため注意が必要です。
自己都合退職と会社都合退職で扶養に入れるタイミングは変わる?
退職理由によって、失業保険の受給が始まるタイミングが異なるため、扶養に入れる期間にも違いが出ます。
それぞれの違いを比較してみましょう。
| 退職理由 | 待機期間 | 給付制限期間 | 扶養に入れる期間 |
|---|---|---|---|
| 自己都合退職 | 7日間 | 原則2か月(令和7年4月以降は原則1か月) | 待機期間+給付制限期間の間 |
| 会社都合退職 | 7日間 | なし | 待機期間の7日間のみ |
会社都合退職の場合は、待機期間の7日間が終わるとすぐに受給が始まるため、扶養に入れる期間は非常に短くなります。
そのため、会社都合退職の方は退職直後から国民健康保険と国民年金に加入する準備をしておいたほうが安全です。
一方、自己都合退職の方は給付制限期間中に扶養に入ることで、その期間分の保険料を節約できるメリットがあります。
自分の退職理由がどちらに該当するかは、離職票の「離職理由」欄で確認できます。
失業保険の不正受給として扱われるケースとは?
扶養に入りながら失業保険を受給すること自体は、条件さえ満たしていれば不正受給にはなりません。
ただし、雇用保険の制度上「不正受給」として扱われるケースは別に存在するため、混同しないように注意しましょう。
不正受給に該当する主なケースは以下のとおりです。
- 実際には就職する意思がないのに、求職活動をしていると虚偽の申告をした場合
- アルバイトやパートで収入を得ていたにもかかわらず、ハローワークに申告しなかった場合
- すでに就職しているのに、失業の状態であると偽って受給を続けた場合
- 虚偽の離職理由を申告して、給付制限を回避しようとした場合
「偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受け、又は受けようとした場合には、支給を受けた金額の全部又は一部の返還が命ぜられ、さらに、返還が命ぜられた金額とは別に、不正に受給した額の2倍以下の金額の納付が命ぜられることがあります。」
引用元:ハローワークインターネットサービス「不正受給についての注意」
不正受給が認定されると、いわゆる「3倍返し」と呼ばれる処分が下される可能性があります。
これは、不正に受給した金額の返還に加え、その2倍の金額の納付を命じられるというものです。
扶養の手続きミスとは次元の違うペナルティなので、失業保険の受給に関するルールはしっかり守りましょう。

