個人事業主でも失業保険はもらえる?受け取れるケース・条件・手続きの流れをやさしく解説
「個人事業主になったけど、もし事業がうまくいかなかったら失業保険ってもらえるの?」と不安を感じている方は少なくありません。
会社員であれば退職後に失業保険(基本手当)を受け取れることは広く知られていますが、個人事業主の場合は制度の仕組みが少し複雑です。
結論からお伝えすると、個人事業主であっても一定の条件を満たせば失業保険を受給できるケースがあります。
さらに2022年には「事業開始等による受給期間の特例」という新しい制度も設けられ、個人事業主にとって選択肢が広がりました。
この記事では、個人事業主が失業保険を受け取れるパターンや具体的な条件、手続きの流れ、そして受給できない場合の代替支援策まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
これから独立を考えている方や、すでに廃業を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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個人事業主に失業保険は適用される?受給の可否をズバリ回答
個人事業主と失業保険の関係は、多くの方が最初につまずくポイントです。
まず押さえておきたいのは、失業保険はあくまで「雇用保険」に加入していた方を対象とした制度であるという点です。
個人事業主は原則として雇用保険の被保険者にはなれないため、「現在個人事業主として働いている方」がそのまま失業保険を受け取ることは基本的にできません。
ただし、会社員として雇用保険に加入していた期間がある方が退職して個人事業主になった場合や、個人事業を廃業して再就職を目指す場合など、状況によっては受給が認められるケースもあります。
個人事業主の失業保険に関する受給可否を大まかに整理すると、以下のようになります。
| パターン | 受給可否 |
|---|---|
| 会社員を退職後、まだ開業届を出していない段階で申請する | ○ 受給可能 |
| 会社員を退職後に開業したが廃業し、再び求職活動を始めた | ○ 条件を満たせば可能 |
| 現在も個人事業を継続している状態で申請する | × 原則不可 |
| 一度も雇用保険に加入したことがない | × 受給不可 |
このように、個人事業主でも「過去に雇用保険に加入していたかどうか」と「現在の就業状態」によって受給の可否が分かれます。
ここからは、失業保険の基本的な仕組みと個人事業主に関わるポイントを順番にみていきましょう。
そもそも失業保険(基本手当)とはどんな制度か
失業保険の正式名称は「雇用保険の基本手当」といいます。
これは、会社などに雇用されて雇用保険に加入していた方が離職したあと、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるために支給される手当です。
基本手当を受けるためには、大きく分けて以下の要件を満たす必要があります。
- 離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること(会社都合退職の場合は6か月以上)
- 現在「失業の状態」にあること(働く意思と能力があるが、就職できていない状態)
- ハローワークに求職の申し込みを行い、積極的に就職活動をしていること
つまり、単に仕事を辞めただけでは受給できず、「再就職を目指して活動しているが見つからない」という状態でなければならないのです。
支給額は離職前の賃金をもとに計算され、離職理由や年齢、被保険者期間によって給付日数が変わります。
引用元:厚生労働省「雇用保険制度の概要」
個人事業主が失業保険を受給できるパターンとは
個人事業主が失業保険を受け取れるのは、主に次のようなケースです。
- 会社員として雇用保険に加入していた方が退職後、まだ開業届を出していない段階で失業保険を申請する場合
- 会社員時代の雇用保険の被保険者期間が十分にあり、退職後に個人事業を始めたが廃業し、再び就職活動を行う場合
- 2022年に新設された「受給期間の特例制度」を利用して、事業に専念した期間を受給期間から除外し、廃業後に基本手当を受給する場合
いずれのパターンにも共通しているのは、「過去に雇用保険に加入していた実績があること」という点です。
個人事業主として独立した経験しかなく、一度も雇用保険に加入したことがない方は、残念ながら失業保険の対象にはなりません。
また、開業届を提出して事業を行っている状態は「失業」とはみなされないため、事業を継続したまま受給することも原則として認められません。
個人事業主のまま受給できないのはなぜか
個人事業主として活動中の方が失業保険を受給できない理由は、雇用保険制度における「失業」の定義にあります。
雇用保険法では、失業とは「被保険者が離職し、労働の意思および能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態」と定められています。
| 状態 | 失業保険の受給可否 |
|---|---|
| 会社を退職し、求職活動中 | ○ 受給可能 |
| 退職後に開業届を出して事業を営んでいる | × 原則不可 |
| 個人事業を廃業し、求職活動を開始した | ○ 条件を満たせば可能 |
| 会社員をしながら副業で個人事業をしている | △ 退職後の状況による |
つまり、開業届を出して事業を行っている時点で「職業に就いている」とみなされるため、たとえ収入がほとんどなくても失業の状態とは認められないのです。
失業保険を受け取りたい場合は、事業の廃止(廃業届の提出)を行い、求職活動を始めることが前提条件となります。
個人事業主が失業保険をもらうために必要な条件
個人事業主が失業保険を受給するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
これらの条件は会社員が退職した場合とほぼ同じですが、個人事業主ならではの注意点も含まれているため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
特に「被保険者期間」「失業の状態」「退職理由」の3つは受給の可否に直結する重要なポイントです。
たとえば被保険者期間が足りなければそもそも申請ができませんし、廃業届を出していなければ失業の状態として認められません。
また退職理由が自己都合か会社都合かによって、給付制限の有無や給付日数に大きな差が出てきます。
ここからは、それぞれの条件について具体的な基準や数字を交えながら初心者の方にもわかりやすく解説していきますので、自分が受給対象になるかどうかをぜひチェックしてみてください。
雇用保険の被保険者期間に関する条件
失業保険を受給するための最も基本的な条件は、雇用保険の被保険者期間が一定以上あることです。
退職理由によって必要な被保険者期間が異なるため、自分がどちらに該当するかを把握しておくことが重要です。
| 退職理由 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 自己都合退職 | 離職日以前の2年間に通算12か月以上 |
| 会社都合退職(倒産・解雇など) | 離職日以前の1年間に通算6か月以上 |
ここでいう「1か月」とは、賃金の支払い基礎日数が11日以上ある月(もしくは労働時間が80時間以上の月)のことを指します。
たとえば会社員として3年間勤務したあとに退職し、個人事業を始めたものの廃業した場合、被保険者期間の条件は満たしている可能性が高いです。
ただし、離職から1年以上経過すると原則として受給資格が失われるため、期間に余裕があるうちに手続きを検討することが大切です。
後述する「受給期間の特例制度」を利用すれば、この1年という制限を延長できる場合もあります。
「失業の状態」として認められるための条件
雇用保険の被保険者期間を満たしていたとしても、「失業の状態」と認められなければ基本手当は支給されません。
ハローワークが失業と認定するには、以下のすべてを満たしている必要があります。
- 現在、仕事に就いていないこと(個人事業を含め、いかなる就業もしていない状態)
- 働く意思があること(積極的に求職活動をしていること)
- 働く能力があること(健康上の理由などで就労が困難でないこと)
- ハローワークで求職の申し込みを行っていること
特に個人事業主の方が注意すべきなのは「現在、仕事に就いていないこと」という点です。
開業届を出したままの状態では、たとえ売上がゼロでも「事業を行っている」とみなされ、失業とは認められません。
廃業届を税務署に提出し、事業を完全に停止したうえで求職活動をスタートする必要があるのです。
なお、ハローワークでは4週間ごとに「失業の認定」が行われ、その期間中に一定回数以上の求職活動実績を報告しなければなりません。
自己都合退職と会社都合退職で異なるポイント
退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、失業保険の給付開始時期や給付日数に大きな差が生まれます。
個人事業を始めるために会社を辞めた場合は、一般的に「自己都合退職」として扱われる点に留意してください。
| 比較項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|
| 給付制限期間 | 原則2か月(過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3か月) | なし(7日間の待期期間のみ) |
| 被保険者期間の要件 | 2年間で通算12か月以上 | 1年間で通算6か月以上 |
| 所定給付日数 | 90〜150日 | 90〜330日(年齢・勤続年数により変動) |
自己都合退職の場合は、待期期間7日間に加えて原則2か月の給付制限期間があります。
この間は基本手当が支給されないため、その分の生活資金を事前に確保しておく必要があるでしょう。
一方、倒産やリストラなどの会社都合で退職した場合は、給付制限期間がなく比較的早い段階から手当を受け取ることができます。
どちらに該当するかは離職票に記載された離職理由コードで判定されますので、退職時に会社から交付される離職票の内容を必ず確認してください。
知っておきたい「受給期間の特例制度」と個人事業主の失業保険
個人事業主にとって特に重要なのが、2022年7月1日に施行された「事業開始等による受給期間の特例」です。
この制度が導入される以前は、会社を退職して個人事業を始めた場合、原則として離職日の翌日から1年以内に廃業して求職活動をしなければ受給資格を失ってしまうという問題がありました。
つまり、事業に集中している間に受給期間が過ぎてしまい、いざ廃業しても基本手当を受け取れないというケースが少なくなかったのです。
しかし特例制度の登場により、事業に専念していた期間を最大3年間まで受給期間から除外できるようになりました。
これにより「まずは個人事業に挑戦してみて、うまくいかなければ失業保険を使って再就職を目指す」という選択が現実的になったのです。
この制度はフリーランスや個人事業主を目指す方にとって非常に心強い仕組みですので、利用条件やルールをしっかり押さえておきましょう。
2022年に新設された「事業開始等による受給期間の特例」とは
この特例は、離職後に事業を開始した方が、事業を行っている期間を受給期間に算入しない(カウントしない)ことで、廃業後でも基本手当を受給できるようにするための制度です。
通常、基本手当の受給期間は「離職日の翌日から1年間」と決まっています。
しかしこの特例を利用すると、事業を行っていた期間(最大3年)が受給期間に加算されるため、実質的に最長4年間の受給期間を確保できます。
- 通常の受給期間は離職日の翌日から1年間
- 特例を利用すると、事業を行っていた期間(最大3年)を受給期間に加えられる
- 結果として、離職日の翌日から最長4年間まで受給期間が延長される
たとえば2023年4月に会社を退職して個人事業を始め、2025年4月に廃業した場合、通常なら受給期間はすでに過ぎていることになります。
しかし事前にこの特例の申請をしておけば、廃業後に改めて基本手当の受給手続きを行うことが可能になるのです。
引用元:厚生労働省「事業開始等による受給期間の特例について」
特例を利用するための申請条件と期限
この特例を利用するためにはいくつかの条件を満たしたうえで、期限内に申請を行う必要があります。
具体的な申請条件は以下のとおりです。
- 2022年7月1日以降に離職していること(施行日以降の離職が対象)
- 離職後に事業を開始していること、または事業に専念し始めていること
- 事業開始日が離職日の翌日以降30日を経過した後であること
- 待期期間(7日間)が経過していること
- 基本手当を含む各種の受給が完了していないこと
申請の期限については、事業を開始した日の翌日から2か月以内にハローワークで手続きを行う必要があります。
この期限を過ぎてしまうと特例を利用できなくなるため、開業届を出したらできるだけ早めにハローワークへ相談に行くことをおすすめします。
申請を行う際は、開業届の控えや事業を行っていることがわかる書類を持参すると手続きがスムーズです。
特例を使うと受給期間はどこまで延びるのか
特例制度を利用した場合の受給期間の延長幅を、具体的な例で確認してみましょう。
| ケース | 通常の受給期限 | 特例利用時の受給期限 |
|---|---|---|
| 2023年4月退職→同年6月開業→2025年3月廃業 | 2024年4月まで(受給期限切れ) | 2027年4月まで延長可能 |
| 2023年10月退職→2024年1月開業→2024年12月廃業 | 2024年10月まで(受給期限切れ) | 2027年10月まで延長可能 |
このように、事業を行っていた期間がまるごと受給期間から除外されるため、事業に失敗しても改めて基本手当を受け取ることができるのです。
ただし延長される上限は最大3年間で、これは離職日の翌日から起算して4年間が受給期間の最長になることを意味します。
また、あくまで「受給期間」が延長されるだけであって、所定給付日数(もらえる日数の上限)自体が増えるわけではありません。
たとえば所定給付日数が90日の方は、延長後の受給期間内に90日分の基本手当を受け取ることになります。
特例を活用するかどうかで将来の安全網が大きく変わりますので、独立を考えている方は必ず検討しておきたい制度です。
個人事業主が開業時にもらえる「再就職手当」とは
失業保険の制度の中には、再就職が早く決まった方に支給される「再就職手当」と呼ばれる一時金があります。
実はこの再就職手当は、会社に再就職した場合だけでなく、個人事業主として開業した場合にも受け取れる可能性があるのです。
再就職手当は基本手当の残日数に応じてまとまった金額が一括で支給されるため、事務所の賃料や備品購入など開業初期の資金に充てることもできます。
ただし、どんな場合でも無条件に受給できるわけではなく、開業届の提出タイミングや待期期間との関係など、いくつかの注意点があります。
タイミングを誤ると本来もらえるはずの手当を受け取れなくなってしまうケースもあるため、制度の仕組みと条件を正しく理解しておくことが重要です。
ここでは再就職手当の仕組みや金額の目安、受給するための条件、そして開業届を出す際のタイミングについて詳しく見ていきます。
再就職手当の仕組みと支給される金額の目安
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合(個人事業の開業を含む)に支給される一時金です。
支給額は基本手当の支給残日数によって変わり、早く再就職するほど多くの手当を受け取れる仕組みになっています。
| 基本手当の支給残日数 | 支給率 | 支給額の計算式 |
|---|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上を残している場合 | 70% | 基本手当日額 × 支給残日数 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上を残している場合 | 60% | 基本手当日額 × 支給残日数 × 60% |
たとえば基本手当日額が5,000円で所定給付日数が90日の方が、まだ70日分を残した状態で開業した場合を考えてみましょう。
70日は90日の3分の2以上に当たるため支給率は70%となり、5,000円 × 70日 × 70% = 245,000円が再就職手当として一括で支給されます。
この金額は開業初期の運転資金として非常に助かるものですので、条件に当てはまる方はぜひ活用を検討してみてください。
個人事業主として開業した場合に再就職手当を受けるための条件
個人事業主として開業するケースで再就職手当を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 待期期間(7日間)が経過した後に開業していること
- 自己都合退職の場合、待期期間終了後の1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること(開業の場合は1か月経過後に開業届を提出する)
- 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
- 1年を超えて事業を安定的に継続できると認められること
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
- 受給資格決定前から開業の準備を始めていないこと
特に注意したいのは「1年を超えて事業を安定的に継続できると認められること」という条件です。
ハローワークでは事業の実態を確認するため、開業届の控えや事業計画書、取引先との契約書などの提出を求められることがあります。
しっかりとした事業計画を準備しておくことが、スムーズな申請につながるでしょう。
開業届を出すタイミングで損をしないために
再就職手当を確実に受け取るためには、開業届を提出するタイミングが極めて重要です。
誤ったタイミングで届け出をしてしまうと、せっかくの手当が受給できなくなるケースがあるためです。
以下の流れを目安にしてください。
- 退職後にハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定を受ける
- 7日間の待期期間を満了するまでは開業の準備や届出を行わない
- 自己都合退職の場合は、待期期間満了後さらに1か月が経過してから開業届を提出する
- 開業届を提出したら、すみやかにハローワークで再就職手当の申請を行う
特に自己都合退職の方は、待期期間終了後1か月間に開業届を出してしまうと再就職手当の対象外になるおそれがあります。
焦って開業届を出す前に、まずはハローワークの窓口で「いつから開業届を出して良いか」を確認しておくと安心です。
なお、再就職手当の申請期限は開業日の翌日から1か月以内ですので、こちらも忘れずに手続きを行いましょう。
個人事業主の失業保険の申請手続きと必要書類
失業保険を受給するためには、ハローワークでの手続きが必須です。
手続き自体は難しいものではありませんが、必要書類をそろえるのに時間がかかることもあるため、早めの準備が欠かせません。
特に個人事業を廃業してから申請する場合は、通常の離職時とは異なる書類が求められるケースもあります。
書類の不備があると再度ハローワークに足を運ぶ必要が出てくるため、あらかじめ何が必要かを把握しておくことでスムーズに手続きを進められます。
ここでは、基本的な手続きの流れをステップ形式で紹介したうえで、準備すべき書類や廃業時に追加で必要になる届出について詳しく見ていきましょう。
| 手続きのステップ | 概要 |
|---|---|
| ステップ1 | 退職した会社から離職票を受け取る |
| ステップ2 | ハローワークで求職の申し込みと受給資格の確認 |
| ステップ3 | 待期期間(7日間)の経過 |
| ステップ4 | 雇用保険受給者説明会への参加 |
| ステップ5 | 4週間ごとの失業認定 |
| ステップ6 | 基本手当の振込 |
全体の流れはこのようになっており、各ステップの詳細を以下で順に解説します。
ハローワークでの手続きの流れ(ステップ形式)
失業保険の受給手続きは、以下のステップで進みます。
ステップ1 離職票の受け取り
退職した会社から「雇用保険被保険者離職票(1・2)」を受け取ります。 通常は退職後10日〜2週間ほどで届きますが、届かない場合は会社やハローワークに問い合わせましょう。
ステップ2 ハローワークで求職の申し込み
住所地を管轄するハローワークに行き、離職票やその他必要書類を提出して求職の申し込みを行います。 この際に受給資格の確認が行われます。
ステップ3 待期期間(7日間)
求職の申し込みをした日から7日間は「待期期間」として、基本手当は支給されません。 この間にアルバイトなどをすると待期期間が延長されるため注意が必要です。
ステップ4 雇用保険受給者説明会への参加
指定された日にハローワークで開催される説明会に参加します。 ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。
ステップ5 失業の認定(4週間ごと)
4週間に1度、ハローワークに出向いて失業の認定を受けます。 認定期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です。
ステップ6 基本手当の振込
失業の認定を受けた後、指定した金融機関の口座に基本手当が振り込まれます。 通常、認定日から5〜7営業日程度で入金されます。
申請時に用意しておく書類一覧
ハローワークで手続きを行う際には、いくつかの書類や持ち物が必要になります。
事前に準備しておくことで、窓口でのやり取りがスムーズに進みます。
| 必要なもの | 補足事項 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者離職票(1・2) | 退職した会社から交付される |
| マイナンバーカードまたは通知カード | 本人確認と番号確認に使用 |
| 本人確認書類(運転免許証など) | マイナンバーカードがあれば不要な場合もある |
| 証明写真(縦3cm×横2.4cm)2枚 | マイナンバーカードを提示する場合は不要 |
| 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード | 基本手当の振込先として登録する |
| 印鑑(認印で可) | 一部のハローワークでは不要になっている |
書類に不備があると手続きが遅れてしまうことがあります。
特に離職票は退職後すぐに届かないこともあるため、届くまでに時間がかかりそうな場合は会社に早めの発行をお願いしておくとよいでしょう。
廃業した場合に追加で必要になる届出
個人事業を廃業してから失業保険を申請する場合は、通常の書類に加えて以下の届出や書類も必要になることがあります。
- 個人事業の廃業届出書の控え(税務署に提出したもの)
- 都道府県税事務所に提出した事業廃止届の控え(該当する場合)
- 青色申告の取りやめ届出書の控え(青色申告をしていた場合)
- 事業を行っていたことがわかる書類(開業届の控え、確定申告書の控えなど)
ハローワークでは申請者が本当に事業を廃止したかどうかを確認するため、廃業届の控えの提出を求めるのが一般的です。
廃業届は税務署に提出した時点でその場で控えをもらえますので、必ず保管しておいてください。
なお、受給期間の特例制度を利用している場合は、特例の申請時に交付された書類も併せて持参する必要があります。
事前にハローワークに電話で問い合わせれば、自分の状況に応じた必要書類を教えてもらえますので、不安な方は相談してから手続きに行くことをおすすめします。
個人事業主が失業保険を受けられないときの代わりの支援策
雇用保険の加入歴がない場合や、受給期間を過ぎてしまった場合には、残念ながら失業保険を受け取ることはできません。
しかし、そのような方に向けた公的な支援制度はいくつか用意されています。
たとえば生活費の不安を軽減する給付金制度や、新たなスキルを身につけながら手当を受け取れる訓練制度、さらには廃業前から将来に備えておける積立型の制度まで、さまざまな選択肢があります。
「失業保険がもらえないから何の支援もない」と諦めてしまうのは早計です。
以下の代表的な4つの制度について内容や条件を詳しく解説しますので、自分の状況に合ったものがないかぜひ確認してみてください。
| 制度名 | 支援の種類 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 住居確保給付金 | 家賃補助(給付) | 離職・廃業から2年以内で住居喪失のおそれがある方 |
| 生活福祉資金貸付制度 | 生活費の貸付 | 低所得世帯、失業中の方など |
| 求職者支援制度 | 職業訓練+給付金 | 雇用保険を受給できない求職者 |
| 小規模企業共済・iDeCo | 退職金・年金の積立 | 個人事業主・フリーランス |
住居確保給付金で家賃の負担を軽くする方法
住居確保給付金は、離職や廃業などにより経済的に困窮し、住居を失うおそれがある方に対して、家賃相当額を原則3か月間(最長9か月間)支給する制度です。
この制度は雇用保険の加入歴に関係なく利用できるため、個人事業主が廃業した場合でも申請が可能です。
支給を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 離職・廃業から2年以内であること、または収入が減少して離職・廃業と同等の状況にあること
- 離職等の前に主たる生計を維持していたこと
- ハローワークで求職の申し込みをしていること
- 世帯の収入と預貯金が一定額以下であること(自治体によって基準が異なる)
支給額は地域ごとに定められた上限額の範囲内で、実際の家賃額が支給されます。
申請窓口はお住まいの自治体の自立相談支援機関ですので、まずは最寄りの窓口に問い合わせてみましょう。
生活福祉資金貸付制度(総合支援資金・緊急小口資金)
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や失業中の方などに対して、生活の立て直しに必要な資金を無利子または低利で貸し付ける制度です。
都道府県の社会福祉協議会が実施しており、個人事業主が廃業した場合にも利用できます。
主な貸付の種類は以下のとおりです。
| 種類 | 内容 | 貸付上限額(目安) |
|---|---|---|
| 総合支援資金(生活支援費) | 生活再建までの間の生活費 | 月15万円以内(単身)、月20万円以内(2人以上世帯)、最長12か月 |
| 総合支援資金(住宅入居費) | 敷金・礼金など住宅の賃貸契約に必要な費用 | 40万円以内 |
| 緊急小口資金 | 緊急かつ一時的に生計維持が困難な場合の少額貸付 | 10万円以内 |
連帯保証人がいる場合は無利子で借りることができ、連帯保証人がいない場合でも年1.5%の低金利で利用できます。
申請は市区町村の社会福祉協議会で受け付けていますので、生活が厳しくなった場合は早めに相談してみてください。
求職者支援制度を使って職業訓練と給付金を同時に受ける
求職者支援制度は、雇用保険を受給できない方が無料の職業訓練(求職者支援訓練)を受けながら、一定の要件を満たせば月額10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取れる制度です。
失業保険の対象外になってしまった個人事業主にとっては、スキルアップと生活支援を同時に受けられる心強い選択肢となります。
給付金を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 本人の月収が8万円以下であること
- 世帯全体の月収が30万円以下であること(2025年3月末まで40万円以下に緩和中)
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 訓練の出席率が8割以上であること
職業訓練の内容はWebデザイン、プログラミング、簿記・経理、医療事務、介護など多岐にわたります。
申請はハローワークで行いますので、興味のある訓練コースを探しながら窓口で相談してみるとよいでしょう。
小規模企業共済やiDeCoなど廃業前から備えられる制度
失業保険の対象にならないリスクに備えて、個人事業主の段階から自分自身で「退職金」や「老後資金」を積み立てておくことも大切です。
代表的な制度として、以下のものがあります。
| 制度名 | 概要 | 掛金の目安 |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 個人事業主や小規模企業の経営者が退職・廃業時に共済金を受け取れる制度 | 月額1,000円〜70,000円(500円刻み) |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 自分で掛金を運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取る制度 | 月額5,000円〜68,000円(個人事業主の場合) |
| 国民年金基金 | 国民年金に上乗せして老後の年金額を増やせる制度 | 口数に応じて変動 |
特に小規模企業共済は「個人事業主の退職金制度」とも呼ばれており、廃業時にまとまった資金を受け取ることができます。
掛金は全額が所得控除の対象となるため、事業を営んでいる間の節税効果も期待できるのがメリットです。
これから個人事業を始める方は、売上が安定したタイミングでこうした制度への加入を検討しておくと、万が一の廃業時に大きな助けになるでしょう。
引用元:中小機構「小規模企業共済」
個人事業主の失業保険でよくある質問
最後に、個人事業主の失業保険に関して多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。
制度の細かい部分は意外と見落としやすく、知らないまま手続きを進めてしまうと損をしてしまうこともあります。
ここでは特にお問い合わせの多い4つのテーマを取り上げて、それぞれの答えを初心者にもわかりやすく解説しています。
以下の質問一覧から、ご自身の状況に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
| よくある質問 | ポイント |
|---|---|
| 副業で個人事業をしていた場合の扱い | ハローワークの判断による。正直に申告することが重要 |
| 受給中に開業届を出した場合 | 基本手当は停止。再就職手当に切り替えられる可能性あり |
| 扶養に入りながら開業できるか | 可能だが、収入基準を超えると扶養から外れる場合がある |
| 失業保険の具体的な金額 | 離職前の賃金・年齢・被保険者期間によって変動する |
副業で個人事業をしていた場合、失業保険はどうなる?
会社員として働きながら副業で個人事業を営んでいた方が退職した場合、失業保険の受給可否は副業の状況によって判断が分かれます。
ポイントは以下のとおりです。
- 副業の個人事業が「事業の実態がある」とみなされた場合、失業の状態と認められない可能性がある
- 事業の規模や収入が小さく、週あたりの労働時間が20時間未満の場合は「失業の状態」と認められるケースもある
- 最終的な判断はハローワークが行うため、退職前に管轄のハローワークに相談するのが最も確実
副業の開業届を出していない場合でも、収入を得ていれば事業を行っているとみなされることがあります。
退職後に副業の個人事業を続けるかどうかによっても判断が変わりますので、自己判断せずにハローワークに正直に申告することが大切です。
虚偽の申告をして基本手当を受給した場合は「不正受給」として、受給額の3倍にあたる金額の返還を求められる可能性がありますので十分注意してください。
失業保険の受給中に開業届を出したらどうなる?
失業保険を受給している途中で開業届を出した場合、原則としてその時点で「失業の状態」ではなくなるため、基本手当の支給は停止されます。
ただし、このタイミングで一定の条件を満たしていれば「再就職手当」の対象になる可能性があります。
受給中の開業に関して覚えておきたいポイントは次のとおりです。
- 開業届を出した日の前日までが基本手当の支給対象期間となる
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていれば、再就職手当の申請が可能
- 開業届を出したことをハローワークに届け出ずに基本手当を受け続けると不正受給になる
再就職手当に切り替えられる場合は、残りの基本手当をまとめて受け取るよりも有利になるケースがあります。
開業を考え始めた段階でハローワークの窓口に相談し、最も得になるタイミングを一緒に確認してもらうのがよいでしょう。
扶養に入りながら個人事業主として開業できる?
個人事業主として開業すること自体は、配偶者の扶養に入ったままでも可能です。
ただし、扶養にはいくつかの種類があり、それぞれ注意すべき収入基準が異なります。
| 扶養の種類 | 収入基準の目安 | 個人事業の収入との関係 |
|---|---|---|
| 社会保険上の扶養(健康保険・年金) | 年間収入130万円未満が目安 | 事業収入(売上−必要経費)が基準を超えると扶養から外れる場合がある |
| 税法上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除) | 合計所得金額48万円以下(配偶者控除の場合) | 事業所得が48万円を超えると配偶者控除の対象外になる |
社会保険上の扶養については、加入している健康保険組合によって収入の計算方法が異なることがあります。
事業収入として「売上全額」を収入とする組合もあれば、「売上−経費」で判断する組合もあるため、配偶者の会社の健康保険組合に確認しておくのが安全です。
開業したからといって自動的に扶養から外れるわけではありませんが、収入が増えてきた場合は速やかに届け出を行う必要がある点を覚えておきましょう。
失業保険の金額はどのくらいもらえる?計算方法は?
失業保険で受け取れる金額は「基本手当日額」と「所定給付日数」の掛け算で決まります。
基本手当日額は、退職前6か月間の賃金総額をもとに以下の手順で算出されます。
まず「賃金日額」を計算します。 賃金日額 = 退職前6か月間の賃金総額(ボーナスを除く) ÷ 180
次に、賃金日額に所定の給付率(約45%〜80%)を掛けて基本手当日額を求めます。 賃金日額が低い方ほど給付率が高くなる仕組みで、おおよその目安は以下のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限(2024年8月1日時点) |
|---|---|
| 29歳以下 | 6,945円 |
| 30〜44歳 | 7,715円 |
| 45〜59歳 | 8,490円 |
| 60〜64歳 | 7,294円 |
たとえば月給25万円(額面)の30歳の方が自己都合退職した場合、賃金日額は約8,333円となり、基本手当日額はおよそ5,500円〜6,000円程度になるイメージです。
所定給付日数が90日であれば、総額で約49万円〜54万円程度を受け取れる計算となります。
ただし、上限額は毎年8月1日に改定されますので、最新の金額はハローワークで確認してください。

