退職給付金とは?退職後にもらえるお金の種類・条件・受け取り方をやさしく解説
退職給付金という言葉を聞いたことがあっても、具体的に何を指すのかよくわからない方は多いのではないでしょうか。
退職給付金は「退職金」とは異なり、失業保険や各種手当を含む幅広い制度の総称です。
知らずに退職してしまうと、本来受け取れるはずのお金を見逃してしまうことも。
この記事では、退職給付金の種類や受給条件、申請の流れまで初心者にもわかりやすく解説します。
「退職給付金の申請、自分ひとりでできるか不安…」という方へ
退職給付金の申請手続きは複雑で、書類の準備や条件の確認に手間がかかります。
申請のミスや漏れがあると、本来もらえるはずのお金を受け取れないケースも。
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退職給付金とは結局どんなお金?退職金との違いをスッキリ理解しよう
退職給付金は、会社を辞めたあとに受け取れるお金を広くまとめた呼び方です。
企業から直接支払われる退職金だけでなく、国や自治体から支給される失業保険や傷病手当金なども含まれます。
「退職したらもらえるお金=すべて退職金」と思い込んでいる方も少なくありませんが、実際にはいくつもの制度が組み合わさっています。
退職給付金の全体像を把握しておくことで、受け取り漏れを防ぎ、退職後の生活を安定させることができます。
以下の表は、退職給付金に含まれる主な制度をまとめたものです。
| 分類 | 具体的な制度例 | 支給元 |
|---|---|---|
| 公的給付 | 失業保険(基本手当)、再就職手当、傷病手当金 | 国(ハローワーク・健康保険) |
| 企業給付 | 退職一時金、企業年金、退職金共済 | 勤務先企業・共済機構 |
| 救済制度 | 未払賃金立替払制度、求職者支援制度 | 国(労働基準監督署ほか) |
このように退職給付金は一つの制度ではなく、公的な給付と企業独自の給付が合わさった総称だと理解しておきましょう。
退職給付金は「退職後にもらえるお金」の総称
退職給付金という言葉には、法律上の明確な定義があるわけではありません。
厚生労働省では「退職給付(一時金・年金)制度」という表現を使っていますが、一般的には退職にともなって受け取れるあらゆる金銭的な支援を指す言葉として使われています。
具体的に含まれる主な制度は以下のとおりです。
- 雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)
- 再就職手当や就業促進定着手当
- 健康保険の傷病手当金
- 企業が独自に支給する退職一時金や企業年金
- 中小企業退職金共済からの給付
これらはそれぞれ申請先や受給条件が異なるため、自分がどの制度に該当するかを事前に確認しておくことが大切です。
退職前に「自分はどの給付金をもらえるのか」を把握しておくだけで、退職後の行動が大きく変わります。
知らなかったために数十万円を受け取り損ねるケースも実際に起きているため、早めの情報収集を心がけましょう。
退職金と退職給付金はどこが違うのか
退職金と退職給付金は名前が似ているため混同されがちですが、指している範囲がまったく異なります。
退職金は、勤務先の企業が就業規則や退職金規程に基づいて支払うお金です。
一方の退職給付金は、退職金を含むより広い範囲のお金を指しています。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 退職金 | 退職給付金 |
|---|---|---|
| 範囲 | 企業が支払う一時金・年金のみ | 退職金+公的給付すべてを含む |
| 支払義務 | 法律上の義務はなく就業規則による | 制度ごとに条件を満たせば受給可能 |
| 支給元 | 勤務先企業 | 企業・国・健康保険組合など複数 |
| 金額の決まり方 | 勤続年数・役職・退職理由など | 制度ごとに算定方法が異なる |
退職金の有無は会社ごとに違いますが、失業保険のような公的給付は条件を満たせば誰でも受け取れる可能性があります。
「うちの会社には退職金制度がないから何ももらえない」と思い込んでしまうのは非常にもったいないことです。
退職金がない場合でも、公的な退職給付金を正しく申請すれば、退職後の生活費をカバーできる可能性は十分にあります。
退職給付金にはどんな種類がある?知っておきたい公的制度6つ
退職後に国から受け取れる公的な給付制度は、実は一つではありません。
多くの方が「失業保険くらいしか知らない」という状態で退職してしまいますが、それ以外にも利用できる制度がいくつもあります。
代表的な公的制度を6つ挙げると、以下のとおりです。
- 失業保険(雇用保険の基本手当)
- 再就職手当
- 傷病手当(雇用保険)/傷病手当金(健康保険)
- 特例一時金
- 求職者支援制度
- 未払賃金の立替払制度
それぞれの制度は対象者や申請先が異なるため、まずは自分がどの制度を使えるのかを確認することが第一歩です。
ここからは各制度の内容を一つずつ見ていきましょう。
失業保険(雇用保険の基本手当)の仕組みと対象者
失業保険は正式には「雇用保険の基本手当」といい、退職後に次の仕事を探している間の生活を支えるための給付です。
退職した人の多くがまず思い浮かべる制度ですが、自動的にもらえるわけではなく、ハローワークでの手続きが必要になります。
受給するための主な条件は以下の2つです。
- 離職前2年間で通算12カ月以上、雇用保険に加入していたこと(会社都合退職の場合は離職前1年間で6カ月以上)
- 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていること
雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。 ――厚生労働省「基本手当について」
失業保険の給付額は退職前6カ月間の賃金をもとに計算され、おおむね在職中の給与の50~80%が支給されます。
給付率は賃金が低い方ほど高く設定されているため、収入が少なかった方も一定の生活費を確保しやすい仕組みです。
退職理由が会社都合か自己都合かによって給付開始のタイミングや支給日数が変わるため、離職票の内容はしっかり確認しておきましょう。
再就職手当で早期の転職がお得になる理由
再就職手当は、失業保険の受給期間中に早く再就職が決まった場合に支給される一時金です。
「早めに就職したら失業保険がもったいない」と感じる方もいますが、この制度のおかげで早期再就職にもメリットが生まれます。
再就職手当の支給額は、基本手当の支給残日数に応じて以下のように変わります。
| 支給残日数の割合 | 支給率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上を残して再就職 | 基本手当日額 × 残日数 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上を残して再就職 | 基本手当日額 × 残日数 × 60% |
たとえば基本手当日額が5,000円で、給付日数120日のうち80日分を残して再就職した場合、5,000円×80日×70%=28万円を一括で受け取れる計算になります。
再就職手当を受け取るにはいくつかの条件があり、前の会社への再就職でないことや、1年を超えて勤務する見込みがあることなどが求められます。
早く安定した職場を見つけられれば、失業保険を受け取り続けるよりも得になるケースは少なくありません。
傷病手当(雇用保険)と傷病手当金(健康保険)の違い
名前がよく似ている「傷病手当」と「傷病手当金」は、まったく別の制度です。
混同してしまうと申請先を間違えたり、受給のチャンスを逃したりするため、違いをはっきり理解しておくことが重要です。
| 比較項目 | 傷病手当(雇用保険) | 傷病手当金(健康保険) |
|---|---|---|
| 管轄 | ハローワーク(雇用保険) | 健康保険組合・協会けんぽ |
| 対象者 | 失業中にケガや病気で15日以上働けない方 | 在職中または退職後にケガや病気で働けない方 |
| 支給期間 | 失業保険の所定給付日数の範囲内 | 最長1年6カ月(通算) |
| 金額の目安 | 失業保険の基本手当日額と同額 | 標準報酬日額の約3分の2 |
傷病手当金は在職中に病気やケガで連続して3日以上休んだ場合に4日目から支給が始まり、退職後も条件を満たせば引き続き受け取ることができます。
一方、傷病手当は失業保険を受給中に体調を崩して求職活動ができなくなった場合に、失業保険の代わりに支給されるものです。
被保険者が業務外の事由による疾病又は負傷の療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。 ――全国健康保険協会「傷病手当金について」
退職前から体調に不安がある方は、まず傷病手当金の受給条件を確認してから退職のタイミングを決めることをおすすめします。
特例一時金は短期雇用者のための制度
特例一時金は、季節的な仕事に従事する短期雇用特例被保険者を対象とした一時金制度です。
たとえば農業や漁業、スキー場のスタッフなど、1年のうち特定の時期だけ働く方が対象になります。
支給を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 短期雇用特例被保険者として雇用保険に加入していたこと
- 離職前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あること
- ハローワークで求職の申し込みを行い、失業の認定を受けること
支給額は基本手当日額の30日分(当分の間は40日分)が一括で支給されます。
通常の失業保険と違って、受給期間中に認定日ごとにハローワークへ通う必要がない点が大きな特徴です。
短期間の雇用を繰り返す働き方をしている方は、この制度を知っているかどうかで退職後の経済的な余裕が変わってきます。
求職者支援制度で訓練を受けながら給付を受ける方法
求職者支援制度は、雇用保険を受給できない方を対象に、無料の職業訓練と月額10万円の給付金を組み合わせた支援制度です。
フリーランスや自営業を辞めた方、雇用保険の加入期間が足りない方などが対象となります。
給付金を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 本人の月収が8万円以下であること
- 世帯全体の月収が30万円以下であること
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 訓練実施日のすべてに出席すること(やむを得ない理由がある場合でも8割以上)
求職者支援制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です。 ――厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
職業訓練はIT・介護・事務など幅広い分野が用意されており、新しいスキルを身につけながら生活費の支援を受けられるのが大きなメリットです。
失業保険の対象にならないからといって諦めず、まずはハローワークで自分が利用できるかどうかを相談してみましょう。
未払い賃金の立替払い制度という最後のセーフティネット
未払賃金の立替払制度は、勤めていた会社が倒産して給与を受け取れなかった場合に、国がその一部を代わりに支払ってくれる制度です。
会社が倒産すると給与や退職金が未払いのまま放置されることがありますが、この制度を使えば未払い賃金の80%(上限あり)を受け取ることができます。
制度を利用するための要件は、大きく分けて次の3つです。
- 勤めていた会社が1年以上事業を続けていたこと
- 会社が法律上の倒産(破産・民事再生など)または事実上の倒産をしていること
- 倒産の申立て日の6カ月前から2年以内に退職していること
「未払賃金立替払制度」は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。 ――厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要と実績」
立替払の上限額は退職時の年齢によって異なり、30歳未満は88万円、30歳以上45歳未満は176万円、45歳以上は296万円が上限です。
申請先は全国の労働基準監督署または独立行政法人労働者健康安全機構となります。
会社が倒産してしまったという最悪の事態でも、この制度を知っていれば生活の立て直しに役立てることができます。
企業が支給する退職給付金の種類と受け取り方
公的な給付制度とは別に、企業が独自に設けている退職給付制度もあります。
企業の退職給付は法律で義務づけられているわけではないため、制度の有無や内容は会社ごとに異なります。
自分の会社にどのような退職給付制度があるのかを確認するには、就業規則や退職金規程を確認するのが確実です。
企業が設ける退職給付の主なパターンは、以下の3つに分けられます。
| 制度の種類 | 受け取り方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 退職一時金 | 退職時に一括 | まとまった資金を手元に確保できる |
| 企業年金(退職年金) | 分割で定期的に | 老後の安定収入になる |
| 退職金共済 | 一時金・年金・併用 | 中小企業向けの外部積立制度 |
どの方法で受け取るかによって税金の計算も変わってくるため、自分に合った選択をすることが大切です。
一括で受け取る「退職一時金」の特徴
退職一時金は、退職するタイミングで会社からまとめて支払われるお金です。
日本で最も一般的な退職金の支払い方法で、多くの企業がこの制度を採用しています。
退職一時金の金額は、一般的に以下の要素をもとに計算されます。
- 勤続年数(長いほど金額が高くなる傾向)
- 退職時の基本給や役職
- 退職理由(自己都合か会社都合か)
- 会社独自の支給率テーブル
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、大学卒で勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の場合、退職一時金の平均額は約1,000万円~2,000万円程度となっています。
ただし、これはあくまで平均値であり、企業規模や業種によって大きな差があります。
退職一時金は「退職所得控除」の対象となるため、勤続年数が長いほど税負担が軽くなる仕組みになっています。
退職を検討する際には、自社の退職金規程を確認して、いくらもらえるのかを事前に把握しておきましょう。
分割で受け取る「企業年金(退職年金)」の特徴
企業年金は退職後に分割して受け取る退職給付で、老後の生活を長期的に支える仕組みです。
代表的な企業年金制度には、確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)の2つがあります。
それぞれの違いを整理すると次のとおりです。
| 比較項目 | 確定給付企業年金(DB) | 確定拠出年金(DC) |
|---|---|---|
| 給付額の決まり方 | あらかじめ算定式で決定 | 運用成果によって変動 |
| 運用リスク | 会社が負担 | 従業員本人が負担 |
| 受け取り方 | 年金または一時金 | 年金または一時金 |
| 転職時の扱い | 原則、脱退一時金を受取 | 次の企業やiDeCoへ移換可能 |
確定給付型は将来の受取額が予測しやすい反面、会社の経営状況によっては制度が変更されるリスクがあります。
確定拠出型は自分で運用商品を選べる自由度がある一方、運用結果によっては元本を下回る可能性もあるため注意が必要です。
どちらの制度が採用されているかは会社によって異なるため、入社時や退職前に人事部門へ確認しておくと安心です。
退職金共済制度を利用している会社のケース
退職金共済制度は、主に中小企業が従業員の退職金を外部に積み立てるための仕組みです。
代表的なものに「中小企業退職金共済制度(中退共)」があり、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しています。
この制度の主な特徴は以下のとおりです。
- 会社が毎月掛金を支払い、従業員が退職したときに共済機構から直接給付される
- 受け取り方は一時金・年金・併用の3パターンから選べる
- 退職金の請求は会社を通さず、退職者本人が直接行う
- 国からの助成制度があり、新規加入時に掛金の一部が補助される
中退共を利用している会社で働いている場合、退職金は会社からではなく共済機構から支払われます。
そのため、会社の経営状況に左右されにくく、万が一会社が倒産しても退職金が守られやすいメリットがあります。
自分の会社が中退共に加入しているかどうかは、就業規則や給与明細の「退職金共済」の欄で確認できます。
退職給付金はいくらもらえる?金額の目安と計算の考え方
退職給付金がいくらもらえるのかは、多くの方が最も気になるポイントです。
金額は制度ごとに計算方法が異なるため一概には言えませんが、おおまかな目安を知っておくだけでも退職後の生活設計に役立ちます。
ここでは、特に利用者の多い失業保険・再就職手当・傷病手当金について、金額のイメージを具体的に紹介します。
退職前に大まかな受給額を把握しておくことで、貯蓄の目標や転職活動のスケジュールを立てやすくなるでしょう。
失業保険の日額は在職中の給与の約50〜80%
失業保険で受け取れる1日あたりの金額は「基本手当日額」と呼ばれ、退職前6カ月間の賃金をもとに算出されます。
計算の流れを簡単にまとめると、次のようになります。
- 退職前6カ月間の賃金総額(ボーナスを除く)を180で割って「賃金日額」を出す
- 賃金日額に50~80%の給付率を掛けて「基本手当日額」を算出する
- 給付率は賃金日額が低い方ほど高く設定されている
たとえば退職前の月収が30万円だった場合、賃金日額はおよそ10,000円となり、基本手当日額は約5,000円~8,000円の範囲になります。
基本手当日額には年齢ごとの上限額が設けられており、30歳未満で約7,000円前後、45歳以上60歳未満で約8,500円前後が目安です。
金額の正確な計算はハローワークで行ってもらえるため、まずは自分の賃金日額を把握しておくと見積もりがしやすくなります。
支給日数は退職理由と勤続年数で大きく変わる
失業保険がもらえる日数は「所定給付日数」と呼ばれ、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって決まります。
この所定給付日数が基本手当日額と掛け合わされて、受け取れる総額が決まる仕組みです。
退職理由ごとの所定給付日数の違いを見てみましょう。
| 退職理由 | 雇用保険加入期間 | 所定給付日数 |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 1年以上10年未満 | 90日 |
| 自己都合退職 | 10年以上20年未満 | 120日 |
| 自己都合退職 | 20年以上 | 150日 |
| 会社都合退職(30歳以上45歳未満) | 1年以上5年未満 | 120日 |
| 会社都合退職(30歳以上45歳未満) | 5年以上10年未満 | 180日 |
| 会社都合退職(30歳以上45歳未満) | 10年以上20年未満 | 210日 |
会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、自己都合退職に比べて給付日数が大幅に長くなります。
離職票に記載される退職理由は給付日数に直結するため、内容に誤りがないかを必ず確認しましょう。
退職理由が「会社都合」として認められるかどうかで、受け取れる総額に数十万円の差が出ることもあります。
再就職手当や傷病手当の金額目安
再就職手当や傷病手当金にもそれぞれ計算方法があり、おおよその金額をあらかじめ把握しておくと安心です。
- 再就職手当の場合、基本手当日額×残日数×60~70%が一括で支給される
- 傷病手当金の場合、標準報酬日額の約3分の2が最長1年6カ月にわたって支給される
仮に月収30万円の方が傷病手当金を最長期間受け取った場合、総額はおよそ360万円前後になる計算です。
再就職手当の金額シミュレーションも確認しておきましょう。
| 条件 | 金額の目安 |
|---|---|
| 基本手当日額5,000円・残日数80日・支給率70% | 約28万円 |
| 基本手当日額6,000円・残日数60日・支給率60% | 約21.6万円 |
| 傷病手当金(月収30万円・12カ月受給) | 約240万円 |
特に傷病手当金は受給期間が長いため、退職給付金の中でも受取総額が最も大きくなる可能性があります。
病気やケガを抱えながら退職する場合は、失業保険だけでなく傷病手当金の申請も忘れずに検討しましょう。
退職給付金の申請手続きと受け取るまでのステップ
退職給付金は黙っていても振り込まれるものではなく、自分で申請手続きを行う必要があります。
手続きの流れを事前に把握しておくことで、スムーズに給付を受け取ることができます。
失業保険を中心とした申請の基本的な流れは以下のとおりです。
- 会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定を行う
- 7日間の待期期間を経て、自己都合退職の場合はさらに給付制限期間を待つ
- 4週間ごとの認定日にハローワークへ出向き、失業の認定を受ける
- 認定後5営業日程度で指定口座に振り込まれる
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
離職票を受け取ったらまずハローワークへ
退職後にまず行うべきことは、会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取ることです。
離職票は退職日からおおむね10日~2週間で届くのが一般的ですが、届かない場合は会社に催促しましょう。
ハローワークへ持参する書類は次のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票(1・2の2枚)
- 本人確認書類(マイナンバーカードまたは運転免許証など)
- マイナンバーの確認書類
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 振込先の預金通帳またはキャッシュカード
ハローワークで求職の申し込みを行うと、受給資格の審査が行われ、問題がなければ受給資格が決定します。
この手続きの日が「受給資格決定日」となり、ここから7日間の待期期間が始まります。
離職票は退職給付金を受け取るために最も重要な書類なので、届いたら内容に誤りがないかをしっかり確認してください。
待期期間と給付制限期間の仕組みを知っておこう
失業保険には受給開始までに一定の期間が設けられており、退職理由によって長さが変わります。
すべての退職者に共通する「待期期間」と、自己都合退職者に課される「給付制限期間」の2つがあります。
| 期間の種類 | 対象者 | 日数 |
|---|---|---|
| 待期期間 | すべての退職者 | 7日間 |
| 給付制限期間(2025年4月以降) | 自己都合退職者 | 原則1カ月 |
| 給付制限期間(5年以内に3回以上の自己都合退職) | 繰り返し自己都合退職した方 | 3カ月 |
| 給付制限なし | 会社都合退職者 | なし |
待期期間の7日間は退職理由にかかわらず全員に適用され、この間は失業保険が支給されません。
自己都合退職の場合は待期期間に加えてさらに給付制限期間があるため、実際に給付が始まるまでに約1カ月半ほどかかります。
なお、2025年4月の法改正により給付制限期間が従来の2カ月から1カ月に短縮されました(詳しくは後述します)。
会社都合退職や特定理由離職者に認定された場合は給付制限がなく、待期期間の7日間が終わればすぐに給付が始まります。
認定日には必ず出向く必要がある
失業保険を受給するためには、4週間に1回の「失業認定日」にハローワークへ出向く必要があります。
認定日には求職活動の実績を報告し、引き続き失業状態であることの確認を受けます。
認定日に求められることは以下のとおりです。
- 失業認定申告書に求職活動の実績を記入して提出する
- 原則として認定期間中に2回以上の求職活動実績が必要
- 認定日当日にハローワークへ出向く(やむを得ない理由がない限り代理や郵送は不可)
求職活動として認められるものには、ハローワークでの職業相談や企業への応募、民間の就職セミナーへの参加などがあります。
認定日にやむを得ず出席できない場合は、事前にハローワークへ連絡して認定日の変更手続きを行いましょう。
無断で認定日を欠席すると、その期間の失業保険が支給されなくなるため注意が必要です。
退職給付金を受け取るときに気をつけたいポイント
退職給付金は正しく手続きすれば受け取れるものですが、知っておかないと損をするポイントもいくつかあります。
申請期限の見落としや税金の問題、そして近年増えている悪質な業者への対策など、事前に注意すべき点を押さえておきましょう。
特に初めて退職給付金を申請する方は、以下の3つのポイントを意識しておくことが大切です。
- 申請にはそれぞれ期限がある
- 退職給付金にも税金がかかるケースがある
- 高額な費用を請求するサポート業者が存在する
申請期限を過ぎると受け取れなくなるケースがある
退職給付金にはそれぞれ申請期限が設けられており、これを過ぎると受給の権利を失ってしまいます。
「後でやろう」と先延ばしにしていると、手続きが間に合わなくなるケースも少なくありません。
主な制度の申請期限は以下のとおりです。
| 制度 | 申請期限 |
|---|---|
| 失業保険(基本手当) | 離職日の翌日から1年以内に受給を終える必要がある |
| 再就職手当 | 再就職した日の翌日から1カ月以内 |
| 傷病手当金 | 労務不能となった日の翌日から2年以内 |
| 未払賃金立替払制度 | 破産手続開始決定等の日の翌日から2年以内 |
失業保険は「受給期間」が離職日の翌日から1年間と定められており、この期間内に受給を終えなければなりません。
体調不良や妊娠・出産などの理由で求職活動ができない場合は、受給期間を延長する手続きも可能です。
いずれの制度も、退職後はできるだけ早く申請手続きを始めることが、受給額を最大化するためのカギとなります。
退職給付金にも税金がかかる?知っておきたい課税ルール
退職給付金はすべて非課税というわけではなく、種類によって課税・非課税の扱いが異なります。
知らずに確定申告を怠ると、後から追加の税金を請求される可能性もあるため注意しましょう。
主な退職給付金の課税関係は以下のとおりです。
| 制度 | 課税の有無 | 備考 |
|---|---|---|
| 失業保険(基本手当) | 非課税 | 所得税・住民税ともにかからない |
| 再就職手当 | 非課税 | 失業保険と同様に非課税 |
| 傷病手当金 | 非課税 | 健康保険法により非課税 |
| 退職一時金 | 課税(退職所得) | 退職所得控除の適用あり |
| 企業年金 | 課税(雑所得) | 公的年金等控除の適用あり |
退職一時金は「退職所得」として扱われ、勤続年数に応じた退職所得控除が適用されるため、実際の税負担は比較的軽くなります。
一方、企業年金を年金形式で受け取る場合は「雑所得」として毎年課税されるため、受け取り方によって税負担が変わることを覚えておきましょう。
退職時に会社から「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておけば、適正な税額で源泉徴収され、確定申告が不要になるケースもあります。
悪質な「退職給付金サポート業者」に注意
退職給付金の申請をサポートすると称して、高額な費用を請求する業者が増えています。
なかには「最大数百万円もらえる」といった誇大な広告を出しているケースもあり、消費者トラブルにつながることがあります。
悪質な業者に共通する特徴は、以下のようなものです。
- 「退職給付金で○○万円もらえる」と具体的な金額を保証する
- 成功報酬として受給額の10~30%以上を請求する
- 契約を急がせ、クーリングオフについて説明しない
- 実際に行うサポート内容が不明確
失業保険や傷病手当金の申請は、基本的にハローワークや健康保険組合で無料で相談・手続きが可能です。
費用をかけなくても自分で申請できるケースがほとんどなので、高額な業者に依頼する前に一度ハローワークに相談してみることをおすすめします。
もし手続きに不安がある場合は、社会保険労務士に相談する方法もあります。
2025年4月の法改正で退職給付金はどう変わった?
2025年4月に雇用保険法が改正され、自己都合退職者にとって大きなメリットのある変更が実施されました。
特に給付制限期間の短縮は、退職後の生活設計に直接影響する重要な改正です。
今回の改正の主なポイントは以下の2つです。
- 自己都合退職の給付制限期間が2カ月から1カ月に短縮
- 教育訓練を受講した場合に給付制限が完全に解除される新制度の導入
これらの変更により、自己都合で退職した場合でも従来より早く失業保険を受け取れるようになりました。
改正内容を正しく理解して、退職後の不安を少しでも減らしていきましょう。
自己都合退職の給付制限期間が原則1カ月に短縮
2025年4月1日以降に退職した方から、自己都合退職の給付制限期間がこれまでの2カ月から原則1カ月に短縮されました。
これにより、退職後約1カ月半で失業保険の給付を受けられるようになっています。
改正前後の違いを比較すると、次のとおりです。
| 項目 | 改正前(2025年3月まで) | 改正後(2025年4月以降) |
|---|---|---|
| 給付制限期間(原則) | 2カ月 | 1カ月 |
| 教育訓練受講時 | 公共職業訓練のみ制限解除 | 教育訓練給付金の対象講座でも制限解除 |
| 5年以内に3回以上の自己都合退職 | 3カ月 | 3カ月(変更なし) |
さらに、離職日前1年以内または離職後に厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合は、給付制限そのものが解除されます。
自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給に当たって、待期満了の翌日から原則2ヶ月間の給付制限期間がある。通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。 ――厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正について」
通信講座や資格スクールの講座も対象となるため、従来に比べて給付制限解除のハードルは大幅に下がったと言えます。
法改正を活用して退職後の不安を減らすコツ
法改正の内容を知っているだけではなく、実際に活用するための準備をしておくことが重要です。
退職を検討している方が今回の改正を最大限に活かすためのポイントを整理しました。
- 退職前に教育訓練給付金の対象講座を調べて、受講を開始しておく
- 離職日前1年以内に受講していれば給付制限が解除されるため、在職中から動き始めるのが理想的
- 退職のタイミングを2025年4月以降にすることで、短縮された給付制限期間の恩恵を受けられる
- ハローワークで自分が特定理由離職者に該当しないか確認し、該当すれば給付制限がなくなる可能性もある
教育訓練給付金の対象講座はハローワークのインターネットサービスや厚生労働省のウェブサイトで検索できます。
令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます。 ――厚生労働省「自己都合離職者の給付制限の見直し」
法改正によって自己都合退職のデメリットが以前より小さくなったことは間違いありません。
ただし制度を使いこなすには事前の情報収集が欠かせないため、退職を考え始めた段階で動き出すことをおすすめします。
退職給付金の申請に不安を感じる方は、プロに相談するのも一つの選択肢です。
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